営業戦略の立て方やフレームワークを調べているものの、属人的な営業から組織的な営業へどのように転換すべきか、判断がつかない企業は少なくありません。
営業戦略は、手順やフレームワークに沿って作成するだけでは機能しません。分析に必要なデータがそろっていなかったり、経営層と営業現場でターゲットの認識がずれていたりすると、戦略を立てても実行に移せず、形骸化する可能性があります。
そのため、営業戦略の立て方を学ぶ前に、まずは自社が戦略を立案・実行できる状態にあるかを把握することが重要です。遠回りに見えても、自社の現在地を確認することが、手戻りを減らす近道になります。
本記事では、営業戦略の定義や立て方、3C分析やSWOT分析などのフレームワークに加え、立案前に確認したい自社の実行体制、内製と外部支援の判断軸、戦略を定着させるポイントまで解説します。
この記事の重要ポイント
・営業戦略とは、「誰に・何を・どのように売るか」を定める中長期的な方針であり、属人的な営業から再現性のある営業組織へ転換するための基盤
・営業戦略は、「現状分析→ターゲット設定→KGI・KPI設定→営業戦術への落とし込み」の流れで設計し、一貫性を持たせることが重要
・戦略を立てる前に、データ整備・ターゲットの社内合意・KPI運用・実行部門との連携体制が整っているかを確認する
・営業戦略は策定して終わりではなく、KPIレビューや改善サイクルを継続し、実行・見直しまで運用する
シャコウではBtoBマーケティングに関する情報をYouTubeで発信しています。初心者の方でも網羅的に理解できる内容になっていますので、ぜひ参考にご視聴ください。
▼【また失注。】営業が売れない理由は戦略にあった?ソリューション方BtoB商材の営業戦略見直し論
営業戦略とは?定義と隣接する5つの概念との違い
営業戦略とは、企業が中長期的な営業目標を達成するために、「誰に・何を・どのように売るか」を定めた方針と計画です。
目の前の商談をどのように進めるかだけではなく、どの市場や顧客を優先するのか、自社のどのような強みを訴求するのか、限られた人員や予算をどこへ配分するのかを整理します。
個人の経験や勘に依存した営業から、組織として再現性のある営業へ転換するためにも、営業戦略が必要です。
営業戦略の定義とBtoB企業における位置づけ
営業戦略は、中長期的な目標の達成に向けて、営業活動の方向性を定めるものです。主に次の要素で構成されます。
- 市場や自社の現状分析
- 優先するターゲットの選定
- 顧客に提供する価値や自社の強みの明確化
- KGI・KPIの設定
- 人員や予算などのリソース配分
- 具体的な営業戦術への落とし込み
個人の営業活動では、ヒアリングや提案、クロージングなどのスキルが重視されます。一方、営業戦略で扱うのは、営業組織全体がどの顧客に対して、どのような方針で活動するかという計画や体制です。
営業担当者の能力が高くても、ターゲットや提案方針が担当者ごとに異なれば、成果は属人的になります。組織として継続的に成果を出すには、個人の営業力だけでなく、活動の軸となる営業戦略が必要です。
ただし、営業戦略は立てれば機能するものではありません。戦略の前提となるデータや社内の合意、実行体制が整っているかも、あわせて確認する必要があります。
営業戦略・営業戦術・経営戦略などの使い分け
営業戦略と似た言葉には、営業戦術、経営戦略、事業戦略、マーケティング戦略、販売戦略があります。
それぞれは対象範囲や時間軸、意思決定の粒度が異なります。
| 概念 | 目的 | 時間軸 | 主な主体 | 粒度 |
|---|---|---|---|---|
| 営業戦略 | 営業目標を達成するために、誰に・何を・どのように売るかを決める | 中長期 | 営業責任者・営業企画・経営層 | 営業活動全体の方針 |
| 営業戦術 | 営業戦略を実行するための具体的な施策を決める | 短期 | 営業部門・営業担当者 | 商談、提案、アプローチなどの個別行動 |
| 経営戦略 | 企業全体の成長や競争優位に向けた方向性を決める | 長期 | 経営層 | 全社レベルの意思決定 |
| 事業戦略 | 特定の事業でどの市場を狙い、どのように成長するかを決める | 中長期 | 事業責任者・経営層 | 事業単位の資源配分 |
| マーケティング戦略 | 市場や顧客を捉え、認知・見込み顧客の獲得方法を決める | 中長期 | マーケティング部門・事業部門 | 市場選定や顧客獲得の方針 |
| 販売戦略 | 商品・サービスを、どのチャネルや価格で販売するかを決める | 中期 | 営業・販売・事業部門 | 販売経路や価格、販売方法の設計 |
特に混同されやすいのが、営業戦略と営業戦術です。
営業戦略が「どの顧客を優先し、どのような価値を提供するか」という中長期的な方針であるのに対し、営業戦術は「電話でアプローチする」「ウェビナーを開催する」「提案資料を改善する」など、戦略を実行するための具体的な行動を指します。
例えば、「製造業の中堅企業を重点顧客として、新規受注を拡大する」が営業戦略です。その実現に向けて、対象企業を抽出して個別にアプローチする、製造業向けの資料を作成するといった施策が営業戦術にあたります。
営業戦略と隣接する概念を整理することで、どの範囲の意思決定を行うべきかが明確になります。



営業戦略を立てる前に確認したい自社の実行体制チェック
営業戦略に関する多くの解説では、現状分析やターゲット設定などの「立て方」から始まります。しかし、その前に確認したいのが、自社に営業戦略を立案し、実行まで進められる状態が整っているかという点です。必要なデータがない、部門間でターゲットの認識が異なる、KPIを運用する仕組みがないといった状態では、戦略を作成しても実行につながりません。
まずは、次の4つの観点から、自社の現在地を確認しましょう。
立てる前に確認すべき4つのチェックポイント
① 売上・商談・顧客データが可視化されているか
自社の売上や商談、顧客に関するデータを確認できる状態でしょうか。
- 顧客属性別の売上
- 商談数や受注率
- 受注・失注の理由
- 商品・サービス別の実績
- 営業担当者別の成果
これらのデータがない場合、成果の出やすい顧客や改善すべき営業プロセスを特定できず、経験や感覚に頼った戦略になりやすくなります。
② 誰に売るかについて社内の認識がそろっているか
経営層、営業責任者、営業現場の間で、優先するターゲットについて合意できているでしょうか。
経営層は大企業を狙いたいと考えている一方で、現場は受注しやすい中小企業へアプローチしているなど、部門や役職によって認識が異なるケースがあります。
ターゲットの合意がない場合、営業担当者ごとに活動方針がばらつき、戦略を実行に移しにくくなります。
③ KPIをモニタリング・レビューする仕組みがあるか
KPIを設定した後に、定期的に実績を確認し、改善につなげる仕組みがあるでしょうか。
- KPIを誰が管理するか
- どの頻度で確認するか
- 未達の場合に何を見直すか
- 改善策を誰が実行するか
こうした運用方法が決まっていないと、KPIを設定しても確認されなくなり、営業戦略が立てて終わりになりやすくなります。
④ 戦略を実行する部門・担当者と連携できているか
営業戦略の立案部門と、実際に施策を実行する部門や担当者との間に、連携経路があるでしょうか。
営業戦略の実行には、営業部門だけでなく、マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセス、商品企画など、複数部門が関わる場合があります。
実行部門が戦略の策定に関与していないと、現場の業務やリソースに合わない計画となり、実行段階で止まる可能性があります。
チェック結果からわかる自社のボトルネック
4つの項目に複数の「No」がある場合、すぐにフレームワークを使って戦略を立てるよりも、ボトルネックを整理することが先決です。
代表的なパターンとして、次の3つが挙げられます。
データはあるが、社内の合意形成ができていない
売上や顧客データは確認できても、経営層と現場で狙うべき顧客の認識が異なるパターンです。この場合は、分析を追加するよりも、データをもとに優先ターゲットの判断基準を整理し、関係者間で合意する必要があります。
方針は決まっているが、KPIの運用体制がない
ターゲットや営業方針は決まっているものの、進捗を確認する指標やレビューの場がないパターンです。この状態では、計画どおりに進んでいるかを判断できません。KPIとあわせて、担当者や確認頻度、改善の進め方まで決める必要があります。
戦略と実行部門が分断されている
経営層や営業企画部門が戦略を立てている一方で、営業現場や関連部門が策定に関与していないパターンです。まずは実行部門を交えて、現場の業務やリソースで実行可能かを確認し、必要に応じて戦略や施策を調整することが重要です。
「No」の数だけで、内製か外部支援かを機械的に判断する必要はありません。ただし、複数の課題が重なっている場合は、戦略立案そのものよりも、データ整備や合意形成、運用体制の構築に時間がかかる可能性があります。自社のボトルネックを把握したうえで、次に営業戦略の具体的な立て方を整理していきます。

営業戦略の立て方|現状分析からターゲット設定・目標設定までのステップ
営業戦略は、次の4ステップで整理すると全体像をつかみやすくなります。
- 現状分析を行う
- ターゲット・ペルソナを設定する
- KGI・KPIを設定する
- 具体的な営業戦術へ落とし込む
営業戦略の立て方は、もっと細かく分類されることもありますが、工程を増やすこと自体が目的ではありません。
重要なのは、現状、ターゲット、目標、具体的な活動が一貫してつながっていることです。前章のチェックでデータや社内合意に課題が見つかった場合は、その状態を整えてから着手すると手戻りを抑えやすくなります。
1. 現状分析・自社の強み弱みの把握
最初に、自社の営業活動を取り巻く現状を整理します。確認したい主な項目は次のとおりです。
- 売上・商談数・受注率の推移
- 受注しやすい顧客層の傾向
- 受注理由・失注理由
- 競合の商品、価格、訴求内容
- 自社の強み・弱み
- 現在の営業プロセスや体制
売上だけではなく、商談数や受注率など営業プロセスごとの数値を見ることで、どこに課題があるかを特定しやすくなります。
例えば、商談数は多いものの受注率が低い場合は、ターゲットや提案内容に課題がある可能性があります。一方、受注率は高くても商談数が少ない場合は、新規接点の獲得方法を見直す必要があります。
分析結果は、次のように強みと弱みに分けて整理すると、その後の戦略へつなげやすくなります。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 強み | 特定業界での導入実績が多い |
| 強み | 顧客課題に応じた個別提案ができる |
| 弱み | 新規顧客の獲得経路が限られている |
| 弱み | 営業成果が一部の担当者に偏っている |
「営業力が高い」「認知度が低い」といった抽象的な表現だけでは、戦略の判断材料として不十分です。顧客データや商談実績など、根拠となる事実とあわせて整理しましょう。
自社内では当たり前になっている課題や強みは、見落としやすいものです。必要に応じて、第三者の診断を通じて客観的に整理する方法もあります。
2. ターゲット・ペルソナ設定
現状分析をもとに、優先してアプローチする顧客を設定します。
ターゲットを広く設定しすぎると、営業担当者ごとに狙う企業や提案内容がばらつきます。そのため、自社が価値を提供しやすく、受注につながりやすい顧客層を絞り込むことが重要です。
BtoB営業では、主に次の項目からターゲットを整理します。
- 業種
- 企業規模
- 売上規模
- 地域
- 担当部署
- 意思決定者の役職
- 抱えている課題
- 導入目的
例えば、「製造業」を対象とするだけでは範囲が広すぎます。
「従業員100〜300人の製造業で、複数拠点の営業管理に課題を抱えている企業」のように、企業属性と課題を組み合わせると、優先すべき対象が明確になります。
さらに、実際にアプローチする人物像をペルソナとして整理します。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 業種・規模 | 従業員100〜300人の製造業 |
| 部署・役職 | 営業企画部長 |
| 主な課題 | 拠点ごとに営業プロセスが異なる |
| 目標 | 営業活動を標準化し、受注率を改善したい |
| 情報収集行動 | 検索、業界メディア、ウェビナー |
| 懸念事項 | 現場の反発、導入工数、投資対効果 |
BtoB営業では、担当者一人だけで意思決定が完結するとは限りません。利用者、導入推進者、情報システム部門、決裁者など、意思決定に関わる複数の関係者を整理する必要があります。
誰が課題を感じ、誰が比較し、誰が承認するのかまで想定することで、商談や提案の設計がしやすくなります。
3. 目標設定・KGI/KPI設定
ターゲットを明確にしたら、営業戦略によって達成したい目標を設定します。
KGI(Key Goal Indicator)は、最終的に達成したい成果です。営業活動では、次のような指標が該当します。
- 売上金額
- 受注金額
- 受注件数
- 新規顧客数
KPI(Key Performance Indicator)は、KGIへ至る営業プロセスを確認するための指標です。
- リード数
- 商談数
- 提案数
- 受注率
- 平均受注単価
例えば、受注件数を増やしたい場合は、必要な商談数や提案数を現在の受注率から逆算します。
KGIとKPIをつなげることで、最終目標だけではなく、日々の営業活動で何を改善すべきかが見えやすくなります。ただし、KPIは設定するだけでは意味を持ちません。誰が、どの頻度で確認し、未達の場合に何を見直すかまで決めることが重要です。
4. 具体例とテンプレートで見る立案の流れ
ここでは、BtoB中堅企業を想定した営業戦略の立案例を紹介します。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| 現状 | 既存顧客からの紹介に依存し、新規顧客の獲得経路が少ない |
| 強み | 製造業の複数拠点にまたがる業務課題への支援実績がある |
| ターゲット | 複数拠点の営業管理に課題を持つ中堅製造業 |
| KGI | 新規受注件数の拡大 |
| KPI | ターゲット企業からの商談数、提案数、受注率 |
| 営業戦術 | 業界向けコンテンツの作成、対象企業への個別アプローチ、提案資料の標準化 |
このように、現状分析からターゲット、目標、具体的な営業活動までをつなげて整理します。
営業戦略を文書化する場合は、次のようなシートに分けると整理しやすくなります。
【現状分析シート】
- 売上・受注実績
- 商談数・受注率
- 顧客属性
- 受注理由・失注理由
- 競合情報
- 自社の強み・弱み
【ターゲットシート】
- 業種・企業規模
- 担当部署・役職
- 抱えている課題
- 導入目的
- 意思決定関与者
- 自社が提供できる価値
【KGI・KPIシート】
- 最終目標
- 目標期限
- 商談数・提案数・受注率
- 指標ごとの担当者
- 確認頻度
- 改善アクション
テンプレートは、現状、ターゲット、目標、営業活動の間に矛盾がないかを確認し、関係者が共通認識を持つために活用します。

営業戦略に役立つフレームワークと使い分け方
営業戦略の立案では、3C分析やSWOT分析などのフレームワークが役立ちます。
ただし、フレームワークは数多く使えばよいわけではありません。整理したい課題や答えたい問いに応じて、必要なものを選ぶことが重要です。
3C分析で市場・競合・自社を整理する
3C分析は、次の3つの観点から事業環境を整理するフレームワークです。
- Customer:市場・顧客
- Competitor:競合
- Company:自社
営業戦略では、顧客がどのような課題を持っているか、競合がどのような価値を提供しているか、自社がどこで優位性を発揮できるかを整理します。
例えば、顧客が「導入後の運用負担」に不安を感じており、競合の支援が導入時までに限られている場合、自社の継続支援体制が強みになる可能性があります。
3C分析は、顧客ニーズと自社の強みが重なる領域を見つけたい場合に向いています。

SWOT分析で自社の強み・弱み・機会・脅威を整理する
SWOT分析では、自社を取り巻く状況を次の4つに分けて整理します。
- Strength:強み
- Weakness:弱み
- Opportunity:機会
- Threat:脅威
強みと弱みは自社の内部要因、機会と脅威は市場や競合などの外部要因です。
例えば、「特定業界での実績」という強みと、「同業界でDX需要が高まっている」という機会を掛け合わせれば、その業界を重点ターゲットとする方向性が考えられます。反対に、弱みと脅威が重なる領域では、無理に競争するのではなく、対象市場や営業方法を見直す判断も必要です。
SWOT分析は、自社の現状を整理し、戦略の方向性を検討したい場合に適しています。
4P分析で営業戦術への落とし込み方を整理する
4P分析は、商品やサービスの販売方法を次の4つの観点から整理するフレームワークです。
- Product:製品・サービス
- Price:価格
- Place:流通・販売チャネル
- Promotion:販促
BtoB営業では、Placeを商談や販売のチャネル、Promotionを顧客へのアプローチ手法として捉えると活用しやすくなります。
例えば、営業戦略で「中堅製造業を重点ターゲットとする」と決めた後、次のように具体化します。
- Product:製造業向けの導入支援プランを整備する
- Price:企業規模に応じた料金体系を設定する
- Place:インサイドセールスとフィールドセールスを組み合わせる
- Promotion:業界向けセミナーや事例コンテンツを活用する
4P分析は、営業戦略を具体的な施策へ落とし込みたい場合に向いています。
PEST分析と5force分析で外部環境を整理する
PEST分析は、企業を取り巻くマクロ環境を次の4つの観点から整理する方法です。
- Politics:政治・法制度
- Economy:経済
- Society:社会
- Technology:技術
法改正や景気変動、社会的な価値観、技術革新など、自社だけではコントロールできない変化を確認します。
一方、5force分析は、業界の競争構造を次の5つの要因から整理するフレームワークです。
- 既存競合との競争
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
PEST分析が社会や市場全体の変化を見るのに対し、ファイブフォース分析は、自社が属する業界内の競争環境を把握するために使います。
いずれも毎回の営業施策で使うものではありません。法制度や技術、市場構造が大きく変わったときに、営業戦略の前提を見直す目的で活用します。


結局どれを使うべき?フレームワークの使い分け表
フレームワークは、答えたい問いに応じて選びます。
| 確認したいこと | 適したフレームワーク |
|---|---|
| 顧客ニーズと自社の強みが噛み合っているか | 3C分析 |
| 自社の現状を整理し、戦略の方向性を決めたい | SWOT分析 |
| 戦略を具体的な営業施策へ落とし込みたい | 4P分析 |
| 法制度・経済・社会・技術の変化を把握したい | PEST分析 |
| 業界構造や競争環境を把握したい | ファイブフォース分析 |
初めて営業戦略を立てる場合は、まず3C分析で市場・競合・自社を整理し、その結果をSWOT分析で戦略の方向性へつなげる方法が考えられます。
その後、具体的な営業施策へ落とし込む段階で4P分析を使うと、分析と実行をつなげやすくなります。
すべてのフレームワークを使う必要はなく、分析したい範囲を明確にし、必要なものだけを選ぶことが重要です。

BtoBコンサルタント
柴犬先輩
フレームワークは課題や答えたい問いに応じて、必要なものを選ぼう
営業戦略を内製で進めるメリット・限界と外部活用の判断基準
営業戦略の立案は、必ずしも外部へ依頼する必要はありません。自社のデータや営業現場への理解があり、関係者間で合意形成できる体制が整っていれば、内製で進めることも可能です。
一方、客観的な分析が難しい場合や、立案から実行までを進める人材・ノウハウが不足している場合は、外部の診断・コンサルティング支援を活用する選択肢があります。
重要なのは、内製と外部支援のどちらが優れているかではなく、自社の状況に対してどちらが合理的かを判断することです。
内製で進める場合のメリットと限界
営業戦略を内製で進める主なメリットは、次のとおりです。
- 自社の商品・顧客・営業現場を深く理解している
- 外部へ依頼するコストを抑えられる
- 立案や運用のノウハウを社内に蓄積できる
- 状況の変化に応じて柔軟に修正しやすい
自社の実情を理解しているメンバーが中心となるため、現場に即した戦略を作りやすい点が内製の強みです。策定プロセス自体が、経営層や営業部門の認識をそろえる機会にもなります。
一方で、内製には次のような限界もあります。
- 既存の考え方に引っ張られ、客観的に分析しにくい
- フレームワークの選定や活用に時間がかかる
- 部門間の意見調整を社内だけで進めにくい
- 立案を主導できる人材に負担が集中する
- 日常業務が優先され、戦略策定が後回しになりやすい
特に、前述した実行体制チェックで複数の項目が「No」だった場合は、営業戦略を作る前段階のデータ整備や合意形成に時間がかかる可能性があります。
内製で進める場合は、誰が責任者となり、どの部門を巻き込み、いつまでに何を決めるのかを明確にしておくことが重要です。
外部の診断・コンサルティング支援を使う場合の判断基準
外部支援は、単に営業戦略の作成を代行してもらうためのものではありません。第三者の視点から自社の現在地や課題を整理し、社内だけでは見つけにくいボトルネックを明らかにする役割もあります。
次のような状況では、外部支援を検討する余地があります。
- 売上や商談データをどのように分析すべきかわからない
- 経営層と営業現場でターゲットの認識がずれている
- 営業戦略の立案経験がある人材がいない
- どのフレームワークを使うべきか判断できない
- 経営層への説明期限が迫っている
- 戦略立案後の実行や定着にも不安がある
外部支援を選ぶ際に確認したいのは、診断や戦略策定だけで終わらないかという点です。
どれだけ精緻な戦略を立てても、営業現場で実行されなければ成果にはつながりません。支援範囲や役割分担を確認し、必要に応じて実行支援や運用改善まで対応できるかを見極める必要があります。
また、外部支援へすべてを任せるのではなく、社内の責任者や実行部門が策定プロセスに関わることも重要です。外部の客観性と自社の現場理解を組み合わせることで、実行可能性のある戦略を作りやすくなります。
自社に営業戦略の型がない場合、まずは無料診断によって現在地を客観的に把握する方法があります。内製で進めるか外部診断を使うか迷っている場合は、戦略方針を見える化し、判断材料をそろえることから始めるのも一つの選択肢です。
営業戦略を実行段階で定着させて形骸化を防ぐポイント
営業戦略は、立案した時点で完成するものではありません。実行段階で現場に浸透せず、KPIも確認されなくなれば、次第に形骸化します。戦略を機能させるには、立案と同時に、運用や見直しの仕組みまで設計する必要があります。
よくある失敗パターンと形骸化のサイン
営業戦略が形骸化している場合、次のようなサインが現れます。
- KPIのモニタリングが止まっている
- 営業担当者が戦略の内容を説明できない
- 従来の営業活動がそのまま続いている
- 経営層と現場で優先順位の認識が異なる
- 未達の原因が検証されていない
- 戦略の見直し時期や責任者が決まっていない
例えば、重点ターゲットを定めたにもかかわらず、営業担当者が従来と同じ顧客へアプローチしている場合、戦略が現場の行動に落とし込まれていません。KPIの数値だけを集計し、未達の原因や改善策を話し合っていない場合も、運用できているとは言いにくい状態です。
こうした問題は、営業担当者個人の意識だけが原因とは限りません。前述した実行体制チェックで、KPIの運用体制や実行部門との接続が不足していた場合に起こりやすい傾向があります。戦略の内容だけでなく、実行の仕組みに問題がないかを確認することが重要です。
定着させるための運用体制のポイント
営業戦略を定着させるには、戦略を日々の営業活動と接続する必要があります。具体的には、次のような運用体制を整えます。
KPIを定期的にレビューする
商談数や提案数、受注率などのKPIを、週次や月次など一定の頻度で確認します。数値の増減だけを見るのではなく、目標との差が生じた理由や、次に改善する活動まで話し合うことが重要です。
経営層や責任者が進捗を確認する
営業戦略を営業部門だけの取り組みにせず、経営層や事業責任者が定期的に進捗を確認します。経営層が関与することで、部門をまたぐ課題への対応や、必要なリソース配分を進めやすくなります。
現場への共有方法を設計する
戦略の内容を資料で共有するだけでは、現場の行動にはつながりにくいものです。重点ターゲットや優先施策について、朝会や週次ミーティングで継続的に確認し、具体的な営業活動と結びつけます。
実行結果をもとに戦略を見直す
営業戦略は、一度立てた内容を固定するものではありません。顧客の反応や受注・失注データをもとに、ターゲット、訴求内容、KPI、営業戦術を定期的に見直します。運用を通じて得た情報を次の判断へ反映することで、戦略の精度を高めていきます。
立案・浸透にかかる期間・工数の考え方
営業戦略の立案と、現場への浸透には、それぞれ異なる工数がかかります。
立案段階では、主に次の工程が必要です。
- 売上・商談・顧客データの収集
- 現状分析
- ターゲットの検討
- 経営層・関係部門との合意形成
- KGI・KPIの設定
- 営業戦術や実行体制の設計
その後、実行段階では、現場への共有、施策の開始、KPIレビュー、改善活動を継続します。
特に時間がかかりやすいのが、ターゲットとKPIに関する合意形成です。関係者ごとに重視する顧客や成果指標が異なる場合、分析そのものよりも、社内の認識をそろえる工程に時間を要します。そのため、営業戦略の策定に必要な期間は、企業規模だけでは判断できません。データの整備状況、関係部門の数、意思決定の進め方などによって変わります。
事前に自社のボトルネックを確認し、合意形成が必要な論点を把握しておくことで、スケジュールや必要な工数を見積もりやすくなります。戦略を立てるだけでなく、現場へ浸透させるところまで一貫した支援が必要な場合は、上流の戦略策定からマーケティング・セールス施策の実行まで対応する外部支援も選択肢になります。
経営層・上司へ営業戦略案を説明する前に整理すべきこと
営業戦略を実行するには、社内の理解と承認が必要です。特に、予算や人員の配分、営業体制の変更を伴う場合は、なぜその戦略が必要なのかを、客観的な情報に基づいて説明しなければなりません。
説明前には、戦略の内容だけでなく、判断の根拠と実行体制まで整理しておきましょう。
説明前に整理しておくべき3つの観点
① 現状分析の根拠データ
まず、なぜ営業戦略を見直す必要があるのかを示すデータを整理します。
- 売上・受注件数の推移
- 商談数・受注率
- 顧客属性別の実績
- 受注理由・失注理由
- 営業担当者や部門ごとの成果
- 競合や市場環境の変化
「営業活動がうまくいっていない」といった抽象的な説明では、戦略変更の必要性は伝わりにくくなります。どの数値に、どのような課題が表れているのかを明確にしましょう。
② 目標設定の妥当性
次に、設定したKGI・KPIの根拠を説明できるようにします。
- なぜその目標を設定したのか
- 現在の実績との差はどれくらいか
- どのKPIを改善すればKGIへ近づくのか
- 目標達成までにどのような前提があるか
目標だけを提示するのではなく、現在の営業実績からどのように逆算したかを示すことが重要です。
③ 実行体制と役割分担
最後に、立てた戦略を誰がどのように実行するのかを整理します。
- 戦略全体の責任者
- 各施策の担当部門・担当者
- 実行期限
- KPIの管理者
- レビューの頻度
- 部門間の連携方法
実行体制が曖昧なままでは、戦略の方向性に合意を得られても、具体的な行動へ移せません。説明資料には、戦略の内容だけでなく、実行可能性を判断できる情報を盛り込みましょう。
裏付けとなる客観的な情報
社内メンバーだけで営業戦略を立てた場合、内容に妥当性があっても、「現在の営業部門の考え方に偏っているのではないか」と見られることがあります。
そのため、次のような客観的な情報を裏付けとして活用します。
- 売上・商談・顧客データ
- 顧客へのヒアリング結果
- 受注・失注理由の分析
- 市場や競合に関する公開情報
- 第三者による診断や分析
本記事で紹介した4つの実行体制チェックも、説明資料の整理軸として活用できます。
- 分析に必要なデータはそろっているか
- ターゲットについて社内の合意があるか
- KPIを運用する体制があるか
- 戦略と実行部門が接続されているか
これらを確認し、課題がある場合は、どのように改善するかまで説明できるようにします。社内説明の材料として、第三者による診断を活用し、営業戦略の妥当性を客観的に裏付ける方法もあります。
まとめ|営業戦略を「立てて終わり」にしないために
営業戦略は、中長期的な営業目標の達成に向けて、「誰に・何を・どのように売るか」を定める方針と計画です。営業担当者個人の経験や行動だけに依存せず、組織として再現性のある営業活動へ転換するために必要となります。
まずは、本記事で紹介した4つのチェックポイントを使い、自社が営業戦略を立案・実行できる状態にあるかを確認してみましょう。課題が複数の部門にまたがる場合や、社内だけで現在地を判断しにくい場合は、第三者による診断を活用して、戦略策定の前提を整理する方法もあります。
シャコウでは、営業戦略の立案から浸透まで、上流の診断・戦略策定から下流のマーケティング・セールスBPOまで一貫して支援します。1000リード・100商談を実現してきた実践メソッドをもとに、最短1カ月で戦略方針を見える化します。
営業戦略に関するよくある質問
Q1:営業戦略とは何ですか?
営業戦略とは、中長期的な営業目標を達成するために、「誰に・何を・どのように売るか」を定めた方針と計画です。市場や自社の現状、ターゲット、目標、リソース配分などを整理します。
Q2:営業の5原則とは何ですか?
営業の5原則に統一された定義があるわけではありませんが、一般的には、顧客の話を聞く、信頼関係を築く、課題を把握する、価値を提案する、継続的にフォローするといった考え方が挙げられます。
これらは個人の営業活動に関する原則であり、組織全体の方針を定める営業戦略とは扱う粒度が異なります。
Q3:営業に必要な4要素とは何ですか?
一般的には、ヒアリング力、提案力、課題解決力、フォロー力などが挙げられます。ただし、営業に必要な要素に統一された定義はなく、企業や商材によって重視される能力は異なります。
Q4:営業の7つのステップとは何ですか?
一般的な営業プロセスは、見込み顧客の選定、アプローチ、ヒアリング、課題整理、提案、条件調整、クロージングなどの段階に分けられます。これは個別の商談を進めるためのプロセスであり、組織全体の方針を設計する営業戦略の立て方とは異なります。
Q5:成果の出ない営業に共通する特徴は何ですか?
個人の営業活動では、顧客の話を十分に聞かない、提案が自社都合になっている、フォローが遅いといった特徴が挙げられます。ただし、組織の成果は個人の資質だけでは決まりません。ターゲットや営業プロセス、KPI、支援体制など、組織としての型が整っているかも重要です。
Q6:営業がうまい人に共通する特徴は何ですか?
顧客の話を丁寧に聞く力、課題に対する仮説を立てる力、顧客に合わせて提案を調整する力などが挙げられます。一方、本記事で扱う営業戦略は、個人の営業スキルではなく、営業組織全体の方向性や仕組みを整えるものです。
Q7:営業戦略を立てる部署はどこが担当すべきですか?
企業規模や組織体制によって異なります。営業企画部門、営業責任者、事業責任者、経営企画部門などが中心となるケースがあります。特定の部署だけで完結させず、経営層や営業現場、マーケティング部門など、実行に関わる関係者を巻き込むことが重要です。
Q8:「営業戦略」は他にどのような言葉で言い換えられますか?
文脈によっては、「セールス戦略」などと表現される場合があります。ただし、明確な使い分けのルールがあるわけではありません。本記事では「営業戦略」に統一して解説しています。




新卒BtoBマーケター
白ポメちゃん
じゃあ営業戦略はどうやって立てていけばいいんですか〜??泣