営業組織の属人化を解消したい、営業担当者の生産性を高めたい、営業企画で立てた方針を現場に定着させたい。こうした課題を背景に、近年注目されているのが営業推進です。

一方で、BtoB企業においては「専任部署を置くほどのリソースがない」「営業推進部をつくっても現場に受け入れられるか不安」「営業企画やマーケティングとの違いが曖昧」と感じるケースも少なくありません。

営業推進は、大規模な専門部署を最初から立ち上げる必要はありません。本記事では、営業推進の定義や役割、立ち上げのステップ、内製か外部委託かの判断基準まで解説します。自社に合った営業推進機能の設計方針を整理したい方は、ぜひ参考にしてください。

電球

この記事の重要ポイント

・営業推進は、営業活動を仕組み化し、組織として成果を再現しやすくする機能
・営業推進の役割は、戦略実行支援・プロセス改善・ナレッジ共有・ツール定着・育成設計に分かれる
・中堅BtoB企業では、最初から専任部署を作らず、兼務体制で小さく始めることが現実的
・営業推進を機能させるには、プロセスKPIと成果KPIの両方で改善状況を可視化することが重要

シャコウではBtoBマーケティングに関する情報をYouTubeで発信しています。初心者の方でも網羅的に理解できる内容になっていますので、ぜひ参考にご視聴ください。

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目次

営業推進とは?営業成果を再現しやすくするための仕組みづくり

営業推進とは、営業担当者が成果を出しやすい環境を整えるために、営業活動の仕組みづくりや実行支援を担う機能です。

営業組織では、成果が特定のトップセールスに依存したり、担当者ごとに商談の進め方が異なったりすることがあります。営業推進は、こうした属人的な営業活動を整理し、誰が担当しても一定水準の成果を出せる状態を目指します。

具体的には、以下のような役割を担います。

  • 営業プロセスの標準化
  • KPI(重要業績評価指標)の進捗管理
  • ナレッジ共有
  • SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)の活用定着
  • 営業担当者の育成支援 など

ここで重要なのは、営業推進は「管理する部署」ではなく「営業現場を支援する部署」であるという点です。KPIや入力状況を確認する場面はありますが、目的は監視ではありません。営業活動のボトルネックを見つけ、改善し、成果を再現しやすい状態を作ることが本来の役割です。

また、営業推進は単なる事務支援とも異なります。資料作成やデータ集計だけでなく、営業プロセスそのものを改善し、組織全体の営業力を底上げする役割を担います。

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営業推進の5つの役割と仕事内容

営業推進部の仕事内容は企業によって異なりますが、主な役割は次の5つに整理できます。

  1. 戦略実行支援
  2. 営業プロセス改善
  3. ナレッジ共有
  4. ツール運用・定着
  5. 育成・研修設計

それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。

戦略実行支援

営業推進の重要な役割の一つが、営業企画や経営層が立てた戦略を、現場が実行できる粒度に落とし込むことです。

たとえば、「新規開拓を強化する」という方針だけでは、営業担当者は何を優先すべきか判断しにくくなります。営業推進は、ターゲット企業の条件、アプローチ件数、商談化率、受注率などのKPI(重要業績評価指標)に分解し、日々の行動に落とし込みます。

また、KPIの進捗を週次・月次で確認し、計画との差分が出ている場合は原因を分析します。商談数が不足しているのか、初回接触から商談化までの歩留まりが低いのか、提案後の受注率に課題があるのかを切り分け、改善策を現場と一緒に実行していくことが求められます。

営業プロセス改善

営業推進は、営業活動の流れを整理し、成果につながるプロセスを標準化する役割も担います。

営業組織では、担当者によって商談前の準備、初回商談で確認する項目、提案資料の作り方、クロージングの進め方が異なることがあります。こうしたばらつきが大きいと、成果が個人の経験やスキルに依存し、組織全体の営業成果が安定しにくくなります。

営業推進は、リード獲得から商談化、提案、受注までの流れを整理し、各フェーズで何を確認し、どのような行動を取るべきかを明確にします。

最初からすべての営業プロセスを標準化する必要はありません。まずは、商談化率や受注率を下げているボトルネックのあるフェーズから着手することが重要です。

ナレッジ共有

営業組織でよくある課題が、成果を出している営業担当者のノウハウが個人の中に閉じている状態です。トップセールスの商談方法やヒアリング項目、提案の切り口が共有されていないと、組織全体の成果は安定しません。

営業推進は、成果につながっている営業活動を分析し、再現可能な「型」に落とし込みます。

具体的には、次のような流れで進めます。

  1. トップセールスや成果が出ているチームにヒアリングする
  2. 商談前準備、初回商談、提案、クロージングなどのプロセスを分解する
  3. 成果につながっている質問・資料・トークを整理する
  4. マニュアルやトークスクリプトに落とし込む
  5. チーム全体に共有し、実践状況を確認する

ナレッジ共有で重要なのは、単に情報を集めることではありません。現場で使いやすい形に整理し、日々の営業活動に取り入れられる状態まで落とし込むことが求められます。

ツール運用・定着

営業推進は、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)などの営業ツールを現場に定着させる役割も担います。

ツールを導入しても、入力ルールが曖昧だったり、担当者ごとに使い方が異なったりすると、正確なデータが蓄積されません。その結果、案件状況や商談進捗を把握できず、改善施策にもつなげにくくなります。

営業推進は、入力項目、更新タイミング、確認ルールを整備し、営業担当者が無理なく使える運用設計を行います。

また、ツール活用を定着させるには、入力を義務化するだけでは不十分です。営業担当者にとって「入力することで案件管理がしやすくなる」「マネージャーから適切な支援を受けやすくなる」といったメリットが伝わる設計にすることが重要です。

育成・研修設計

営業推進は、営業担当者の育成や研修設計にも関わります。新人向けには営業プロセスの基礎や商材理解、中堅向けには提案力や案件管理、シニア層にはチーム内ナレッジ共有や後輩育成など、階層ごとに必要なテーマは異なります。

また、OJT(職場内訓練)を現場任せにしすぎると、育成品質が上司や先輩によってばらつきます。営業推進が研修内容やOJTチェック項目を整えることで、育成の再現性を高められます。

営業推進が担うべきなのは、単発の研修を実施することだけではありません。営業担当者が学んだ内容を現場で実践し、成果につなげられるよう、研修後のフォローや商談レビューの仕組みまで設計することが重要です。

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新卒BtoBマーケター

白ポメちゃん

営業推進の役割がわかりました!でも、営業企画や営業・マーケティングとはどう違うの??

営業推進と営業企画・営業部・マーケティングの違い

営業推進は、営業企画・営業部・マーケティングと近い領域を扱うため、役割が曖昧になりやすい機能です。混乱を防ぐには、それぞれの担当スコープを明確にする必要があります。

項目 営業企画 営業推進 営業部 マーケティング
主な役割 営業戦略・方針の設計 戦略の実行支援・仕組み化 商談・提案・受注 リード獲得・育成
タイムライン 中長期 短期〜中期 日次〜月次 短期〜中長期
主な成果物 営業戦略、予算、ターゲット設計 KPI管理表、営業プロセス、マニュアル、研修設計 商談、提案書、受注 リード、コンテンツ、キャンペーン
主なKPI 売上計画、予算達成率、戦略進捗 商談化率、受注率、SFA入力率、研修定着率 売上、受注数、案件数 リード数、MQL数、CV数

営業企画との違い

営業企画と営業推進の違いを一言で表すと、営業企画は方針をつくる機能、営業推進は方針を現場に届けて実行を支援する機能です。

営業企画は、市場分析、営業戦略、予算配分、ターゲット設計など、比較的上流の意思決定を担います。一方で営業推進は、営業企画で決まった方針を、営業担当者が日々の行動に移せる形に変換します。

ただし、企業規模によっては営業企画と営業推進を同じ担当者や同じ部署が兼ねることもあります。その場合も、「方針づくり」と「実行支援」を分けて考えることで、役割の抜け漏れを防ぎやすくなります。

マーケティング・営業部との違い

マーケティングは、見込み顧客を獲得し、商談につながる接点を作る役割を担います。広告、SEO、ホワイトペーパー、セミナー、メールマーケティングなどが代表的な施策です。

営業部は、マーケティングやインサイドセールスから引き継いだ見込み顧客に対して商談を行い、提案・受注につなげます

営業推進は、その間にある営業プロセス全体を整えます。たとえば、マーケティングから引き継いだリードが商談化しにくい場合、営業推進はリード条件、初回接触方法、ヒアリング項目、商談化基準などを見直します。

つまり営業推進は、マーケティングと営業部を分断させず、売上につながる一連の流れを改善する役割を持ちます。

営業推進が必要とされている4つの背景

営業推進が必要とされる背景には、営業活動の複雑化と、属人的な営業体制の限界があります。個人の経験やスキルに依存した営業では、成果を安定的に再現しにくくなっており、組織として営業活動を仕組み化する必要性が高まっています。

BtoB営業の購買プロセスが複雑化している

営業推進が必要とされる背景の一つに、BtoB営業における購買プロセスの複雑化があります。

BtoB営業では、検討期間が長く、関与者も複数にわたるケースが少なくありません。担当者だけでなく、上長、経営層、情報システム部門、法務部門など、複数の関係者が意思決定に関わることもあります。

そのため、営業担当者には、顧客の課題を把握する力だけでなく、検討状況や意思決定プロセスを整理し、適切なタイミングで提案を進める力が求められます。

しかし、こうした複雑な営業活動を担当者個人の経験に任せていると、案件の進め方にばらつきが生まれます。営業推進によって営業プロセスを整理し、商談の進め方や確認すべき項目を標準化することで、複雑なBtoB営業にも組織として対応しやすくなります。

営業成果が個人のスキルに依存しやすくなっている

営業組織では、成果が特定のトップセールスに偏ることがあります。売れている担当者は独自の提案方法や顧客理解の進め方を持っていますが、そのノウハウが共有されていなければ、組織全体の成果にはつながりません。

また、担当者ごとに営業スタイルが異なる状態では、成果が出ている理由も、成果が出ていない理由も把握しにくくなります。結果として、営業マネージャーが改善策を出そうとしても、個別の経験や感覚に頼った指導になりやすくなります。

営業推進は、成果につながる営業活動を可視化し、再現可能な型に落とし込む役割を担います。これにより、特定の担当者に依存するのではなく、組織全体で成果を出しやすい状態を作ることができます。

営業人材の育成に時間がかかるようになっている

営業推進が必要とされるもう一つの背景が、営業人材の育成難度の高まりです。

BtoB営業では、商材理解、業界理解、顧客課題の把握、提案設計、社内調整など、身につけるべき知識やスキルが多岐にわたります。そのため、新人や中途入社者が早期に成果を出すには、個人の努力だけでなく、体系的な育成の仕組みが必要です。

しかし、育成を現場任せにしていると、上司や先輩によって教える内容が変わり、立ち上がりにばらつきが出やすくなります。OJTが属人化すると、営業担当者ごとの成長スピードにも差が生まれます。

営業推進が研修内容やOJTの確認項目を整備することで、営業人材の育成を仕組み化できます。結果として、新人・中堅社員の早期戦力化や、営業組織全体の底上げにつながります。

経営が営業活動を正しく把握しにくくなっている

営業活動が属人化している組織では、経営層が営業の実態を正しく把握しにくくなります。

たとえば、案件状況が担当者ごとに管理されていたり、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)への入力ルールが統一されていなかったりすると、商談数、商談化率、受注率、失注理由などを正確に把握できません。

営業の実態が見えない状態では、どこに課題があるのか判断できず、改善施策も感覚的になりやすくなります。結果として、営業戦略を立てても、現場で何を変えるべきかが曖昧になってしまいます。

営業推進は、KPI(重要業績評価指標)や営業プロセスを整理し、営業活動を可視化する役割を担います。経営が営業の状態を把握し、現場が改善に取り組める状態を作るうえでも、営業推進は重要な機能です。

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営業推進がない組織で起きやすい3つの問題

営業推進機能がない、または十分に機能していない組織では、営業活動が個人任せになりやすく、成果の再現性が低くなります。ここでは、営業推進がない組織で起きやすい代表的な問題を3つ紹介します。

成果が特定の営業担当者に依存する

営業推進がない組織では、成果が特定の営業担当者に依存しやすくなります。売れている担当者の商談方法や提案の切り口、顧客との関係構築の進め方が共有されていないと、他のメンバーが同じように成果を出すことは難しくなります。

この状態では、トップセールスが異動・退職した場合に、営業組織全体の成果が大きく落ちる可能性もあります。個人の力で成果を出すのではなく、組織として再現できる営業の型を作ることが重要です。

新人・中堅社員の育成に時間がかかる

営業推進がない組織では、育成が現場任せになりやすくなります。上司や先輩によって教える内容が異なったり、営業プロセスが明文化されていなかったりすると、新人や中堅社員は何を基準に営業活動を進めればよいのか判断しにくくなります。

その結果、立ち上がりに時間がかかり、担当者ごとの成長スピードにも差が出やすくなります。営業推進によって育成内容や営業プロセスを整理することで、育成のばらつきを抑え、早期戦力化につなげやすくなります。

営業課題の原因を特定しにくくなる

営業推進がない組織では、営業課題の原因を特定しにくくなります。たとえば、売上が伸び悩んでいる場合でも、商談数が不足しているのか、商談化率が低いのか、提案後の受注率に課題があるのかを切り分けられなければ、適切な改善策を打つことはできません

KPIや案件情報が整理されていない状態では、営業課題を感覚で判断しやすくなります。営業推進は、営業活動を数値とプロセスの両面から可視化し、改善すべきポイントを明確にする役割を担います。

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BtoBコンサルタント

柴犬先輩

営業推進が十分に機能していない組織では、成果の再現性が低くなってしまうんだ。

営業推進の立ち上げステップと仕組み化のポイント

営業推進機能を立ち上げる際は、いきなり施策を増やすのではなく、現状分析から始めることが重要です。ここでは、営業推進を立ち上げる際の基本ステップを解説します。

ステップ①:現場と経営の課題をヒアリングする

営業推進を立ち上げるうえで最初に行うべきことは、営業活動の現状を把握することです。営業担当者やマネージャー、経営層へのヒアリングを通じて、どこに課題があるのかを整理します。

営業推進は、営業担当者を管理・監視するための機能ではありません。現場が成果を出しやすくするための支援機能です。そのため、立ち上げ初期から現場の声を聞き、「何に困っているのか」「どの業務に時間がかかっているのか」「どのフェーズで案件が停滞しているのか」を把握することが重要です。

あわせて、経営層が営業組織に対して何を期待しているのかも確認します。売上拡大、新規開拓の強化、商談化率の改善、営業人材の早期戦力化など、経営側の課題感を整理することで、営業推進が取り組むべき優先テーマを明確にできます。

ステップ②:営業プロセスとKPIの現状を可視化する

次に、営業プロセスとKPIの現状を可視化します。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)のデータ、商談管理表、営業会議の資料などを確認し、営業活動の流れと成果指標を整理します。

具体的には、次のような観点を確認します。

  • リード獲得から受注までのプロセスは整理されているか
  • 商談化率や受注率が下がっているフェーズはどこか
  • 成果を出している担当者とそうでない担当者の違いは何か
  • SFA/CRMの入力ルールは統一されているか
  • 育成やOJT(職場内訓練)の内容にばらつきはないか

この段階で重要なのは、いきなり改善策を出すことではなく、営業活動のどこにボトルネックがあるのかを明らかにすることです。商談数が不足しているのか、商談化率が低いのか、提案後の受注率に課題があるのかによって、営業推進が取り組むべき施策は変わります。

ステップ③:優先度の高い営業プロセスから標準化する

現状分析で課題が見えたら、最も成果に影響しやすい部分から営業プロセスを標準化します。すべての営業活動を一度に型化しようとすると、現場の負担が大きくなり、定着しにくくなるためです。

たとえば、初回商談で課題を十分に聞き出せていない場合は、ヒアリング項目や商談の流れを整えることから始めます。提案後の受注率に課題がある場合は、提案資料の構成やクロージング時の確認項目を見直します。

標準化する際は、成果を出している営業担当者の行動を分析し、再現可能な形に落とし込むことが重要です。商談前の準備、初回商談で確認する内容、提案時に伝えるべきポイント、失注理由の記録方法などを整理することで、営業活動のばらつきを減らせます。

営業推進の立ち上げ初期は、完璧なマニュアルを作る必要はありません。まずは、現場がすぐに使えるチェックリストやトーク例、商談レビュー項目など、実務に取り入れやすい形から整備するとよいでしょう。

ステップ④:研修・OJTで現場に浸透させる

標準化した営業プロセスは、研修やOJTを通じて現場に浸透させます。新人向けには営業の基本プロセスや商材理解、中堅向けには提案力や案件推進、マネージャー向けには育成・商談レビューの方法など、対象者ごとにテーマを分けると効果的です。

また、研修は実施して終わりではなく、現場で使われているかを確認する必要があります。研修後のロールプレイング、商談同席、SFAの入力内容確認などを通じて、実践状況を把握します。

営業推進を現場に定着させるには、現場から「管理されている」と受け取られないようにすることも重要です。なぜこの施策を行うのか、営業担当者にとってどのようなメリットがあるのかを伝えながら進めることで、現場の納得感を得やすくなります。

ステップ⑤:KPIをモニタリングし、改善を続ける

営業推進を機能させるには、施策を実行するだけでなく、成果につながっているかを継続的に確認する仕組みが必要です。そのために、KPIのモニタリング体制を整えます。

週次では商談数、商談化率、案件停滞数などを確認し、月次では受注率、営業担当者あたりの売上、平均案件期間などを確認します。数字の変化を見ながら、どの施策が効果を出しているのか、どこに追加の改善が必要なのかを判断します。

また、施策の効果は経営層と現場の双方に共有することが重要です。たとえば、トークスクリプトの改善後に商談化率がどう変化したか、SFAの入力ルール整備によって案件確認の時間がどう減ったかを示せば、営業推進の価値が伝わりやすくなります。

営業推進は、一度仕組みを作って終わりではありません。KPIを確認し、現場の声を拾いながら改善を続けることで、営業組織に定着していきます。

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中堅企業が限られたリソースで営業推進を始める方法

中堅規模のBtoB企業では、最初から専任の営業推進部を設けるのが難しい場合もあります。その場合は、営業責任者や営業企画、マーケティング担当者などが兼務で営業推進機能を担い、小さく立ち上げる方法が現実的です。

ここでは、中堅企業が限られたリソースのなかで営業推進を始める際の考え方を解説します。

最初から専任部署を作る必要はない

営業推進というと、専任部署や専門チームを立ち上げるイメージを持つかもしれません。しかし、営業人数や商談数がまだ限られている段階では、最初から専任部署を作る必要はありません。

むしろ初期段階では、営業責任者や営業企画、マーケティング担当者などが兼務で営業推進の役割を担い、課題の大きい領域から小さく始める方が現実的です。

重要なのは、営業推進という部署名を作ることではなく、営業活動を仕組み化し、現場が成果を出しやすい状態を作ることです。専任組織の有無にかかわらず、KPI管理、営業プロセス改善、ナレッジ共有などの機能を少しずつ持たせていくことが大切です。

兼務担当者が担う範囲は1〜2テーマに絞る

兼務体制で営業推進を始める場合、最初から多くの役割を担おうとしないことが重要です。

営業推進には、KPI管理、営業プロセス改善、ナレッジ共有、ツール運用、育成設計など幅広い役割があります。しかし、兼務担当者がすべてを同時に進めようとすると、通常業務との両立が難しくなり、施策が中途半端になりやすくなります。

最初は、商談化率や受注率に影響しやすいテーマに絞って取り組むとよいでしょう。

機能 兼務体制での優先度 理由
ナレッジ共有 トップセールスのやり方を共有しやすく、短期で効果が出やすい
営業プロセス改善 商談化率・受注率に直結しやすい
KPI進捗管理 最小限の指標に絞れば兼務でも対応可能
ツール運用定着 入力ルール整備から始めると進めやすい
育成・研修の独自プログラム開発 工数が大きく、初期段階では負荷が高い

たとえば、初回商談のヒアリング項目を整える、トップセールスの提案方法を共有する、SFAの入力ルールを統一するなど、現場の負担が少なく、成果につながりやすい施策から始めるのが有効です。

兼務担当者が最初の90日で取り組むこと

兼務体制で営業推進を立ち上げる場合、最初の90日は取り組む範囲を絞ることが重要です。まずは現状を把握し、改善インパクトが大きい領域を見極め、小さく運用を始めます。

期間 取り組むこと 目的
1〜30日目 現状把握と最重要KPIの整理 どこに課題があるかを明確にする
31〜60日目 標準化する営業プロセスの選定 改善インパクトの大きい領域を絞る
61〜90日目 現場展開とKPIレビューの開始 小さく運用し、改善サイクルを回す

最初の30日は、営業活動の現状把握に集中します。商談数、商談化率、受注率、案件停滞の状況などを確認し、最も改善インパクトが大きいKPIを1〜2個に絞ります。

31〜60日目は、型化する対象を決めます。初回商談、提案、クロージング、SFA入力ルールなどのうち、どこを整えると成果に影響しやすいかを判断します。

61〜90日目は、作成した型を現場に展開し、KPIレビューの仕組みを始めます。完璧な仕組みを作ってから導入するのではなく、小さく始めて改善することが重要です。

専任部署への移行を検討するタイミング

兼務体制で営業推進を始めたあと、業務量や組織課題が増えてきたら、専任担当者や専任部署への移行を検討します。

判断の目安は、次のような状態です。

  • 営業推進に関する業務が継続的に発生している
  • 月次の商談数が増え、KPI管理の工数が大きくなっている
  • 現場からマニュアル整備や研修依頼が増えている
  • 営業責任者だけでは改善施策を回しきれなくなっている
  • SFA/CRMの運用ルール整備が継続的に必要になっている

上記のような状態になったら、兼務1名から専任1名、さらに専任チームへ移行するタイミングです。

ただし、専任化のタイミングは業種や営業モデルによって異なります。自社の商談数、営業人数、案件単価、営業プロセスの複雑さを踏まえて判断する必要があります。

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営業推進の内製・外部委託の判断基準

営業推進を立ち上げる際、多くの企業が迷うのが「内製で進めるべきか、外部パートナーに依頼すべきか」という点です。

条件 内製推奨 外部委託推奨 ハイブリッド推奨
推進リーダー候補 社内にいる 社内にいない 社内にいるが経験不足
立ち上げ期間 3〜6ヶ月以上かけられる 3ヶ月以内に形にしたい 初期設計だけ早めたい
KPIコミット 内部管理でよい 外部にも成果責任を持たせたい 戦略は外部、運用は内製
社内ノウハウ ある程度ある ほとんどない 一部ある

内製と外部委託は、どちらが優れているという話ではありません。自社のリソース、スピード、必要な専門性に応じて選ぶことが重要です。

内製が成功するケース

内製が向いているのは、社内に営業企画やマーケティングの経験がある人材がいて、営業現場との調整もできる場合です。

具体的には、次の条件を満たす企業では内製で進めやすくなります。

  • 営業推進を担えるリーダー候補が社内にいる
  • 立ち上げに3〜6ヶ月程度の期間をかけられる
  • KPI管理や施策改善を社内で継続できる
  • 営業責任者が推進担当者を支援できる
  • 現場との関係性が比較的良好である

この条件を満たしている場合、外部パートナーに依頼することが過剰になるケースもあります。特に、すでに営業プロセスやKPIが一定程度整っている企業では、社内で小さく始める方が現実的です。

外部委託が成功するケース

外部委託が向いているのは、社内に推進リーダー候補がいない、または短期間で営業推進機能を立ち上げたい場合です。

たとえば、次のようなケースでは外部パートナーの活用が有効です。

  • 営業活動が属人化しており、どこから改善すべきかわからない
  • 営業企画やマーケティングの専任者がいない
  • 3ヶ月以内に営業プロセスやKPI管理の土台を作りたい
  • 商談化率などの成果KPIを重視している
  • 戦略設計だけでなく、実行支援まで必要としている

外部パートナーを選ぶ際は、診断や戦略提案だけで終わるのか、実行まで支援できるのかを確認することが重要です。営業推進は設計だけでなく、現場に定着して初めて成果につながります。

また、費用に不安がある場合は、最初から大きな支援範囲で依頼するのではなく、まず現状診断を行い、自社に必要な支援範囲を明確にする進め方が有効です。

ハイブリッド型(内製 + 外部)が成功するケース

内製か外部委託かを二択で考える必要はありません。現実的には、内製リーダーと外部パートナーを組み合わせるハイブリッド型が有効なケースもあります

たとえば、初期の現状分析やKPI設計、営業プロセスの型化は外部の知見を活用し、その後の運用や現場定着は社内担当者が担う方法です。

この進め方であれば、立ち上げ初期のスピードを高めながら、最終的には社内にノウハウを蓄積できます。特に中堅BtoB企業では、外部に丸投げするのではなく、社内に推進機能を残す前提で支援を受けることが重要です。

自社でどこまで内製できるか迷っている場合は、シャコウの無料相談で現状を整理いただけます。BtoB定石診断アプローチにより、最短1ヶ月で戦略方針の可視化が可能です。

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営業推進のKPI設計と成果を可視化するための2つの設計

営業推進を継続的に機能させるには、KPI設計が欠かせません。KPIが曖昧なままでは、営業推進が何に貢献しているのかを経営や現場に説明できなくなります。

営業推進のKPIは、プロセスKPI成果KPIの2層で設計するのが基本です。

プロセスKPIと成果KPIの2層設計

プロセスKPIとは、営業推進の活動がどれだけ進んでいるかを測る指標です。一方、成果KPIは、営業成果にどのような影響が出ているかを測る指標です。

種類 KPI例 目的
プロセスKPI 営業マニュアル整備率 型化の進捗を測る
プロセスKPI 研修受講率 育成施策の浸透度を測る
プロセスKPI SFA入力率 データ活用の土台を測る
プロセスKPI 商談レビュー実施率 改善サイクルの定着度を測る
成果KPI 商談化率 リードから商談への転換を測る
成果KPI 受注率 提案から受注への転換を測る
成果KPI 営業担当者あたり売上 営業生産性を測る
成果KPI 平均案件期間 営業プロセスの効率を測る

プロセスKPIだけでは、施策が売上に貢献しているかが見えません。一方で、成果KPIだけでは、どの施策が効いているのかがわかりにくくなります。

そのため、営業推進では両方を組み合わせて設計することが重要です。

KPIより前に抑えておきたいBtoBビジネスモデル リンク設定済:クリックして変更 資料ダウンロード

経営・現場に「何をやっているか」を伝えるレポート設計

営業推進は、成果が見えにくいと「何をしている部署なのか」と思われることがあります。これを防ぐには、定期的なレポート設計が必要です。

月次レポートには、次の要素を含めるとよいでしょう。

  • 今月の重点施策
  • プロセスKPIの進捗
  • 成果KPIの変化
  • 現場からのフィードバック
  • 改善した営業プロセスや資料
  • 次月に実施する施策

また、経営向けと現場向けでレポートの見せ方を変えることも重要です。経営向けには売上・商談化率・受注率など成果指標を中心に示し、現場向けには具体的な改善内容や営業活動へのメリットを示します。

営業推進は、数字で語れる状態を作ることで、経営からも現場からも必要性を理解されやすくなります。

シャコウは、KPI設計からインサイドセールス実行まで一貫支援が可能です。まずは現状整理だけでもご相談ください。

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まとめ

営業推進は、営業担当者を管理するための機能ではありません。営業担当者が商談に集中し、組織として成果を再現できる状態を作るための仕組みです。

特に中堅BtoB企業では、最初から専任部署を作るのではなく、兼務1名から始める方法も現実的です。重要なのは、営業推進の役割を広げすぎず、最初に取り組む機能を絞ることです。

導入時は、以下の項目を確認しましょう。

  • 営業推進の目的は明確か
  • 営業企画・営業部・マーケティングとの役割分担は整理されているか
  • 現場の課題をヒアリングできているか
  • 最初に改善すべき営業プロセスは特定できているか
  • KPIはプロセスKPIと成果KPIの2層で設計されているか
  • 兼務担当者が担う範囲を絞れているか
  • 内製・外部委託・ハイブリッドの判断基準を持てているか
  • 経営と現場に成果を共有するレポート設計があるか

営業推進は、営業組織の成果を一部の優秀な担当者に依存させず、組織全体で再現するための機能です。まずは現状分析とKPIの整理から着手し、自社に合った最小構成で営業推進を立ち上げていきましょう。

営業推進の設計・立ち上げ支援から、IS代行による実行支援まで、シャコウは上流戦略から下流施策まで一貫でサポートします。

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営業推進に関するよくある質問(FAQ)

Q. 営業推進とはどんな仕事ですか?

A. 営業推進とは、営業担当者が商談に集中できる環境を整えるために、仕組みづくりと実行支援を担う仕事です。具体的には、営業目標の進捗管理、営業プロセスの改善、マニュアル作成、研修設計、SFA/CRMの運用定着、営業データの可視化などを行います。

Q. 営業推進に向いている人はどんな人ですか?

A. 営業推進の担当者には、営業現場と対話できる力、データを見て課題を整理する力、施策を仕組みに落とし込む力が求められます。営業経験者だけでなく、営業企画、マーケティング、事業企画などの経験がある人も向いています。特に、現場の感覚と数字の両方を理解できる人材が適しています。

Q. 営業推進と営業企画の違いを一言で言うと?

A. 営業企画は営業方針をつくる機能、営業推進はその方針を現場で実行できる形に整える機能です。営業企画が戦略や目標を設計し、営業推進がKPI管理、プロセス改善、ナレッジ共有などを通じて実行を支援します。

Q. SFA/CRM等のツール導入と営業推進機能の設計はどちらが先ですか?

A. 先に行うべきなのは、営業プロセスの設計です。ツールは、設計した営業プロセスを効率化・可視化するために導入するものです。営業プロセスや入力ルールが曖昧なままツールを導入すると、データが蓄積されず、活用も進みにくくなります。

Q. 営業推進部を設けることで商談化率はどう変わりますか?

A. 商談化率の変化は、どのプロセスを改善するかによって異なるため、一律の数値で保証することはできません。ただし、営業プロセスのボトルネックを特定し、商談化につながる行動を型化して全員に展開できれば、担当者ごとのばらつきが減り、組織全体の商談化率を改善しやすくなります。