シャコウ社による共催ウェビナー「【ホワイトペーパー大解剖vol02】SEO・MA連動・商談獲得に効果のあった事例に迫る90分」では、シャコウ、プランB、クラウドサーカスの3社が集結し、ホワイトペーパーの効果的な活用法、SEOやマーケティングオートメーション(MA)との連動、そして商談に結びつけるための具体的な成功事例を豊富なデータとともに紹介しました。
BtoBマーケティング担当者や営業担当者、事業責任者の方にとって、ホワイトペーパーはリード獲得やナーチャリング、さらには商談獲得までを支援する重要なツールです。今回の内容は、ホワイトペーパー制作から活用までの実務的なノウハウを余すことなくお伝えしていますので、ぜひ最後までご覧ください。
本記事は株式会社シャコウが運営するYouTubeチャンネル「BtoBマーケ研究所」のウェビナー動画、「【ホワイトペーパー大解剖vol02】SEO・MA連動・商談獲得に効果のあった事例に迫る90分」のレポート記事です。
登壇者と企業紹介
本ウェビナーは、株式会社シャコウの太田翔葵氏がモデレーターを務め、以下の3名が登壇しました。
【登壇者】
株式会社シャコウ/取締役 木戸 堅斗
株式会社PLAN-B/マーケティング部プロダクトマーケティングマネージャー 松本 健吾
クラウドサーカス株式会社/Marketing-Co-Creation事業部 シニアマネージャー 本郷 翔太
株式会社シャコウは、BtoBマーケティングの上流戦略設計から実務運用までを一気通貫で支援する企業であり、ホワイトペーパー制作やインサイドセールスを活用したリード獲得から商談化までを強力にサポートしています。成果報酬型ホワイトペーパーサービスも展開しており、ナーチャリングに課題を抱える企業に最適なソリューションを提供しています。
プランBはデジタルマーケティング支援に特化しており、SEOを中心としたツール開発とコンサルティングを提供。1人マーケター不足や業務過多の企業向けに、マーケターが1人増える感覚で利用できるサービスも開始しました。自社メディアの運営経験を活かし、SEOとホワイトペーパーの連動施策を展開しています。
クラウドサーカスはBtoB企業の受注相談に特化し、Web制作と自社開発の集客ツールを組み合わせた一気通貫の支援を提供。ホワイトペーパー作成代行と電話を活用したアポイント獲得までをワンストップで実施するサービスが特徴です。MAツールのコンサルティングも強みで、ホワイトペーパーとMAの連携による商談創出を得意としています。
シャコウでのホワイトペーパーの定石
各社はホワイトペーパーをどのように活用し、どんな成功事例があるのでしょうか。まずは木戸氏(シャコウ)にお話しいただきました。
ホワイトペーパーの主な使い方
シャコウでは、ホワイトペーパーを広告経由の新規リード獲得と、メルマガを活用したリードナーチャリングの両軸で活用しています。特にリード獲得ではCPA(顧客獲得単価)を低く抑えることを重視し、ナーチャリングではハウスリストの掘り起こしに注力しています。
企画のポイント
ホワイトペーパーの企画においては、「質」と「量」のバランスが重要なポイントです。質の高いコンテンツはサービスへの関心度が高い層を獲得しやすい一方、量を重視すると大量の浅い関心層を集めることが可能です。シャコウでは、最終的なゴールを「相談の獲得」に置き、インサイドセールスのリソースと連携しながら最適なバランスを模索しています。
ホワイトペーパー×広告・メルマガ施策
ホワイトペーパーは施策の掛け合わせが可能なものであり、今回お話しするのが広告とメルマガとの掛け合わせです。
広告施策では、Google、Yahoo、Microsoft、X(旧Twitter)など複数媒体を活用していますが、主にメタ(Facebook広告)が中心です。メタ広告ではホワイトペーパー制作ステップのライトなバナーを用いることで、CPAを約3分の1に削減できた事例があります。これにより、興味関心層の獲得に成功し、ウェビナーなどの施策と組み合わせてハウスリストの増加に寄与しています。
メルマガによるナーチャリングでは、8,000件のリストに送信し、約100件のホワイトペーパーダウンロードを獲得しました。これはナーチャリング経由の相談数が全体の24%を占めることからも、費用対効果の高い施策として評価されています。
メルマガの重要性は、顧客のカスタマージャーニーが複雑化し、順序通りに進まない現状において、すべてのフェーズで接点を持つために不可欠とされています。
シャコウが考えるナーチャリングに適した企業の特徴
ハウスリストを1万件以上持つ企業は、メルマガを活用したホワイトペーパー施策で月間相談数の増加が見込めます。また、展示会などでリストはあるが活用していない企業にもメルマガ施策はおすすめです。
ナーチャリングは後回しにされがちですが、長期的な信頼構築とリードタイムの長いBtoBビジネスでは、効果の積み重ねが重要です。
PLAN-Bのホワイトペーパーの定石
PLAN-Bの松本氏は、自社のマーケティングの視点からホワイトペーパーの使い方や成功事例を紹介しました。
ホワイトペーパーの主な使い方
当社では、新規リード獲得とナーチャリングに加え、営業資料としての活用も増加しています。インサイドセールスや営業担当者が送付資料として使えるホワイトペーパーを制作し、営業活動と連動させることがポイントです。
企画のポイント
企画の立て方には2つの起点があります。1つは「カスタマージャーニー起点」で、顧客がサービスを理解し合意に至るステージ毎に必要な情報を設計します。例えば、SEOの重要性を理解してもらうホワイトペーパーや、自社のサービスを選ぶ理由を伝える資料などです。
もう1つは「現在の集客起点」で、既存のメディアやSEO記事から集まるトラフィックを分析し、ニーズに即したホワイトペーパーを作る方法です。メディアや記事にある程度人が集まっている場合はこの方法が効果的です。
当社では約2,300の記事を大中小のカテゴリーに分類し、それぞれに対応するホワイトペーパーを用意。これによりコンバージョン率(CVR)が約1.8倍に上昇しました。
PLAN-Bでの制作体制と効率化
PLAN-Bの制作体制は、マーケター1人で企画から公開までを担当するケースもありますが、業務委託のデザイナーやサポートスタッフを活用して分業化を図っています。記事をベースにホワイトペーパーを作成し、資料化の作業を外部に任せることで、月に3本以上のホワイトペーパー制作を安定して行えるようになりました。
コンテンツ転用のポイント
記事とホワイトペーパーは情報量や構成が異なるため、記事をすべてそのまま資料に載せるのではなく、複数の記事を集約し、見やすく整理したパッケージとして提供することが効果的です。ホワイトペーパーは情報の集約と読みやすさが価値となるため、記事の内容の選別と編集が重要です。
クラウドサーカスのホワイトペーパーの定石
続いてクラウドサーカスの本郷氏に、ホワイトペーパーの使い方やポイント、成功事例をお話しいただきました。
ホワイトペーパーの主な使い方
ホワイトペーパーの使い方を「新規リード獲得」「ナーチャリング」「アプローチ機会の創出」の3つに分けて説明しました。特に、検討段階に応じたホワイトペーパーが重要であり、顕在層だけでなく潜在層向けのコンテンツを用意することで、より多くのリード獲得につながると指摘しています。
検討段階別にホワイトペーパーを作成する重要性
本来注力すべきは、お問い合わせには至っていないけど、HPを見に来ているという一歩手前のユーザーです。この層に合わせたホワイトペーパーを制作することが必要になります。
例えばWeb制作会社向けには、ホームページ制作会社の選び方といった業者選定をしている人向けのコンテンツを用意します。次に、もう一歩手前に下がり、HPに集客はしたいがリニューアルは検討していない層向けにコンテンツを提供。さらに、営業効率化や新規集客の課題を持つ企業向けに自己診断シートなどのオリジナルコンテンツを用意することで、幅広い層のリード獲得が可能になります。
マーケティング×営業の連携の重要性
ホワイトペーパーの成果を最大化するには、マーケティングと営業の密な連携が不可欠です。マーケ側がリードを増やす施策を行う一方で、営業側の声を反映した資料作りやリードの質のすり合わせが必要です。これが不十分だと、リードは増えても売上に結びつかない状況が生まれます。
クラウドサーカスでは、マーケと営業の双方が定期的にミーティングを行い、課題や要望を共有。営業担当の負荷や受注可能性を踏まえた施策設計を心掛けています。第三者的なコンサルティングの介入も円滑なコミュニケーションの促進に役立っています。
デザイン変更による成果向上
ホワイトペーパーのデザインを刷新し、分厚い本のような3D風の画像を採用した事例では、コンバージョン率(CVR)が大幅に向上しました。また、ダウンロードページに簡単なアジェンダを掲載し、内容をちら見せすることでCVRが0.14%から0.5%に改善。デザインや同線設計の工夫が成果に直結しています。
検討段階に応じたアプローチ設計
クラウドサーカスでは、顕在層向けホワイトペーパーはインサイドセールスが即座にアプローチし、潜在層向けホワイトペーパーはMAツールを活用したナーチャリングを実施。これにより、初回ダウンロード時の商談化率は15.6%ですが、追客を継続することで84.4%のリードが商談化しており、追客の重要性が明確になっています。
問い合わせへの同線設計の工夫
ホワイトペーパー内に「無料相談」や「プランナーに相談してみる」といった問い合わせ誘導ボタンを設置した事例では、広告費を50%削減しつつ問い合わせ数を110%増加させる成果を達成。ホワイトペーパーから問い合わせへのスムーズな導線設計が成果に大きく貢献しています。
プロだから語れるホワイトペーパー活用メソッド
続いて、各3社にプロだから語れるホワイトペーパー活用のメソッドをそれぞれのテーマでお聞きしました。
PLAN-B松本氏にはSEOとホワイトペーパー連動の勝ちパターンを、クラウドサーカス本郷氏とシャコウ木戸氏には商談につながるホワイトペーパーの勝ちパターンについてお聞きしました。
【PLAN-B】SEOとホワイトペーパー連動の勝ちパターン
PLAN-Bの松本氏は、SEO記事とホワイトペーパーの連動について深堀りしました。SEO対策で検索ボリュームの多いキーワードを追いかけがちですが、顧客のカスタマージャーニーや営業活動の流れに沿ったキーワード設定が重要です。
カスタマージャーニーを起点にキーワードを選定し、関連するホワイトペーパーを作成することで、マーケティングと営業の連携が強化されます。営業担当者の実際の商談録画や顧客の課題を反映したコンテンツ制作が、ホワイトペーパーの効果を最大化するポイントです。
また、マーケティング担当と営業担当が密にコミュニケーションをとり、リアルな顧客像を共有することで、顧客の検討過程に即したコンテンツを提供可能に。これにより、営業のクロージング効率も向上します。
【クラウドサーカス】商談につなげるホワイトペーパーの勝ちパターン
クラウドサーカスの本郷氏は商談につながるホワイトペーパーの活用メソッドとして、ポイントが主に5つあると話します。
ホワイトペーパーのダウンロード後にすぐにフォローできる体制が整っている企業に関しては、制作コストなども考慮して「読ませないホワイトペーパー」があっても良いと思っています。一方、アプローチするリソースがない企業の場合は「読ませるホワイトペーパー」を作成するのがおすすめです。
また、リソースのある企業はあえて難しいページを作成することで、フォロー電話の際に「何ページ目、把握できましたか?」といったヒアリングができるようになります。さらに、コンテンツの数に困った場合は資料のアップデートでも問題なく、「2025年版」と更新してメール配信するのも手です。
また、ダウンロード後の集客や、自社に最適なコンテンツを作成していく重要性についてもお話しいただきました。
【シャコウ】ホワイトペーパーから有効商談を生み出す勝ちパターン
シャコウの木戸氏は、ホワイトペーパーで有効商談を生み出すためには「企画」と「フォローコール」の両輪が不可欠と述べています。
まず企画では、サービスへの関心度と資産性(長期利用可能性)を考慮し、課題解決型やサービス比較、事例紹介などのテーマを優先的に作成します。トレンド性の高いニュース系やイベントレポートは資産性が低いため、長期的な効果を狙うなら汎用性の高い企画を重視すべきです。
また、ホワイトペーパーはユーザーの課題解決のための資料ではあるものの、その中で自社の魅力をどのように伝えていくのかを考えていく必要があります。ただ情報提供をしただけで、「他社の方が良い」とせっかく獲得したリードが離れてしまっては、勿体ないです。そのため、自社の魅力が伝わるようなテーマは何なのかを考えた上でストーリーを設計していくことが重要です。
次にフォローコールですが、問い合わせや資料ダウンロード後の迅速な電話対応が成果に直結します。データによると、5分以内の対応で通電率が4倍になるほか、6回のコールで約90%の通電率を達成します。シャコウでは5分以内のコールと6回以上のリコールをルール化し、インサイドセールスのスキル向上にも取り組んでいます。
まとめと今後の展望
ホワイトペーパーはBtoBマーケティングにおいて、リード獲得からナーチャリング、商談創出までを支える強力な武器です。今回のウェビナーでは、3社の実践的なノウハウと成功事例が共有され、活用のポイントが明確になりました。
ここでの知見を踏まえ、ホワイトペーパーを単なる資料ではなく、営業とマーケティングを繋ぐ重要なコンテンツ資産として戦略的に活用しましょう。
もしホワイトペーパー制作や運用に課題を感じている場合は、ぜひ専門企業への相談を検討してください。今回登壇した各社も成果報酬型のサービスや無料相談を提供していますので、自社の課題に合わせて最適な支援を受けることが可能です。
▼本レポートの内容をより詳しく知りたい方は、ウェビナーのアーカイブをぜひご覧ください。
本記事は株式会社シャコウが運営するYouTubeチャンネル「BtoBマーケ研究所」のウェビナー動画、「【ホワイトペーパー大解剖vol02】SEO・MA連動・商談獲得に効果のあった事例に迫る90分」のレポート記事です。