
BtoBマーケティングは、施策の種類もツールも年々増えています。SEO、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告、展示会——。取り組むべき選択肢は多い一方で、「施策は実行しているのに、商談や受注につながらない」と感じている企業は少なくありません。
その背景にあるのは、施策そのものの良し悪しではなく、BtoB特有の購買構造や組織分業を前提とした設計が抜け落ちていることです。BtoBでは、検討期間が長く、関与者も多く、意思決定プロセスも複雑になります。にもかかわらず、個別施策を点で積み上げてしまうと、マーケティングは機能しません。
本記事では、BtoBマーケティングを「施策論」ではなく全体設計の視点から整理します。The ModelやABMといった基本概念を起点に、SDR・BDRの役割、そしてSEOやホワイトペーパー、ウェビナーなど各施策の定石と運用ポイントまでを一気通貫で解説します。
YouTubeでもBtoBマーケティングの施策に関する定石やポイントを発信しています。初心者の方でも網羅的に理解できる内容になっていますので、ぜひ参考にご視聴ください。
▼BtoBにおけるSEOの位置付けと最低限抑えておくべきアルゴリズムを解説
▼ホワイトペーパーマーケの定石|失敗しない考え方と制作STEPを徹底的に解説
サービス戦略とマーケティング戦略
BtoBマーケティングというと、SEOや広告、インサイドセールスなどの「施策」に注目が集まりがちです。しかし実際には、それらの施策の手前にサービス戦略という土台が存在します。
本章では、BtoBマーケティングを考えるうえで欠かせない「サービス戦略」と「マーケティング戦略」の違いと関係性を整理し、なぜ施策論だけでは成果が出ないのかを解説します。
▼BtoBセールス・マーケ戦略設計については以下の資料でも解説しています。
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BtoBマーケティングは施策の前に「戦略」がある
マーケティング戦略が、The Modelに代表されるような施策や運用のフレームワークだとすれば、サービス戦略はサービスそのものの価値をどう設計するかという、より上流の概念です。BtoBマーケティングでは、このサービス戦略が曖昧なまま施策に入ってしまい、結果として成果が出ずに手詰まりになるケースが少なくありません。
マーケティング戦略はある程度体系化されており、王道の進め方も存在します。しかし、サービス自体に競争力がなければ、どれだけ施策を磨いても売れないという現実があります。そのため、BtoBマーケティングを成功させるには、施策の最適化と並行して、サービス戦略を見直し続ける視点が不可欠です。

サービス戦略を考える3つの基本フレームワーク
BtoBマーケティングの文脈において、サービス戦略を考える際には、以下の3つの考え方が軸になります。
- バリュープロポジション
- カテゴリーエントリーポイント
- ランチェスター戦略
ここでは、それぞれの考え方を解説します。
バリュープロポジション|価格競争に陥らない価値設計
バリュープロポジションは、「顧客が求める価値」「自社が提供できる価値」「競合が提供する価値」この3点の重なりをどう設計するか、という考え方です。
競合と完全に重なる領域では、顧客にとっての価値は横並びになり、結果として価格競争に巻き込まれます。重要なのは、顧客が求めており、かつ競合が満たせていない価値領域をどれだけ広く取れるかです。
ただし、このバリュープロポジションは、市場の切り方によって成立可否が大きく変わります。そこで重要になるのが、次に紹介するカテゴリーエントリーポイントです。

カテゴリーエントリーポイント|どの市場で戦うかを決める
カテゴリーエントリーポイントとは、「〇〇といえば〇〇」という想起を作れる市場の切り方を指します。
市場を広く取りすぎると競争が激化し、狭くしすぎると成長余地がなくなります。BtoBでは、自社のアセットや実績に照らして、大きすぎず、小さすぎない市場を選べているかが極めて重要です。
この市場選定が適切であれば、前述したバリュープロポジションを成立させやすくなります。

ランチェスター戦略|局地戦で勝ち切る
市場を選定した後は、リソースを分散させず、局地戦で勝ちにいくという考え方が有効になります。特にBtoBでは、限られたリソースで大手企業と正面から競うことは現実的ではありません。
自社が勝ち切れる領域を定め、他を捨てて集中する。このシンプルな戦い方を徹底できるかどうかが、初期フェーズでは大きな差になります。
サービス戦略は「作って終わり」ではない
サービス戦略は、一度設計すれば完成するものではありません。市場環境の変化、競合の出現、新たな顧客インサイトによって、走りながら検証・改善していくものです。
施策がうまくいかなかった際に、施策そのものを切り捨ててしまうのは危険です。特に初期フェーズでは、サービスや訴求の型が固まっていない状態であることが多く、重要なのは「なぜ反応しなかったのか」を検証し、サービス戦略側にフィードバックすることです。
このフェーズでは、商談数や受注数だけで判断するのではなく、どの市場に、どの訴求が刺さるのかという仮説検証を優先すべきです。
BtoBマーケを構成する2つの概念|The Model と ABM
BtoBマーケティングの現場では、「SDR」「BDR」「インサイドセールス」「ホワイトペーパー」など、多くの専門用語や施策が登場します。しかし、それらを場当たり的に組み合わせるだけでは、安定して成果を出し続けることはできません。
まず押さえておくべきなのが、BtoBマーケ・セールスの上流概念として知られる「The Model」と「ABM」という2つの考え方です。
▼The Model と ABMについては以下の記事で詳しく解説しています。


The ModelとABMとは
The ModelとABMは、いずれも商談・受注を生み出すための営業・マーケティング手法ですが、前提となる考え方とアプローチの方向性が大きく異なります。
The Modelは、「いま自社に興味を持っている可能性が高い企業を効率的に抽出し、再現性高く商談・受注を積み上げていく」ことを目的としたモデルです。
一方、ABM(Account Based Marketing)は、あらかじめターゲット企業を定め、1社ごとのLTV(顧客生涯価値)を最大化することを目的としたアプローチとなります。
両者は以下のようなプロセスの違いがあります。
• The Model
認知 → 興味関心 → 商談 → 契約
広いファネルから優先度の高い企業を段階的に絞り込んでいく
• ABM
特定 → 接触 → 関係構築 → 深耕
最初から狙いを定め、関係性を深めていく
同じ「商談・受注」を目指す手法であっても、施策設計の思想は大きく異なります。


The Model型の特徴と向いているケース
The Model型は、広く網をかけ、その中から優先的に商談化していくという特性を持つため、前提としてターゲットとなる企業数が市場に多く存在することが求められます。
そのため、以下のような条件に適しています。
- SMB(中小企業)からエンタープライズまで幅広く利用されるサービス
- Webを起点にしたリード獲得が可能な商材
- ホワイトペーパー、SEO、広告、ウェビナーなどの施策と相性が良い
成果指標としては、以下のような数値として計測しやすいKPIが中心になります。
- リード獲得数
- Webコンバージョン数
- 商談件数
The Model最大の強みは、再現性の高さです。一度仕組みが確立できれば、月次のリード数・商談数・受注数について、ある程度の「ヨミ」を立てやすくなります。

ABMの特徴と向いているケース
ABMは、特定の企業を狙い撃ちで攻略していく手法です。
The Model型とは異なり、以下のような個別最適な動きが求められるため、属人性が高く、難易度の高い施策になりやすい点が特徴です。
- 企業ごとの営業戦略設計
- 部署・役職単位での接触
- 社内外の紹介・関係構築
一方で、以下のような領域においては、一撃必殺になり得る非常に強力なチャネルでもあります。
- 高単価商材
- 大企業向けサービス
- 1社あたりの売上インパクトが大きいビジネス
The ModelとABMは「併存」する
ここまで説明すると、The ModelとABMは対立する概念のように見えるかもしれません。しかし、実際のBtoB企業では両者が併存するケースが大半です。一般的な成長フェーズごとの整理は以下の通りです。
• リリース〜初期フェーズ
実績が少なく、トップ営業・リファラル中心
• 成長フェーズ
The Modelをベースに、再現性のある商談創出を行う
• 成熟フェーズ
The Modelを軸にしつつ、
・注力業界
・エンタープライズ
に対してABMやパートナー施策を並行
このように、契約数(量)とLTV(質)を両立させる設計が重要になります。

The ModelとABMと、ハウスリストの関係
The ModelかABMかを考える際、もう一つ重要な観点がハウスリストの有無です。BtoBマーケは、「いかに安価にリードを獲得し、商談・受注につなげられるか」の競争でもあります。
既に名刺情報や顧客データといったハウスリストを保有している場合、0円でアプローチできる顧客が存在するという点で、非常に大きな競争優位性を持ちます。
ハウスリストがある場合
ハウスリストを保有している場合は、深耕営業を最優先すべきです。
- 大手企業がターゲット → 社内紹介、部署横断の接点づくり
- SMBがターゲット → メルマガ、ホワイトペーパー、ウェビナーによる掘り起こし
特にメルマガは広告費をかけずに実施できるため、良質かつ大規模なハウスリストは極めて強力な武器になります。
ハウスリストがない場合
一方で、多くの新規事業や立ち上げフェーズでは、ハウスリストがほぼ存在しないケースも少なくありません。その場合も、判断軸はシンプルです。
- 大手企業中心 → ABMを軸に、狙いを定めたアプローチ
- SMB中心 → The Modelをベースに、広く網をかけて効率的に商談化
まずは、自社のターゲット母数・成長フェーズ・ハウスリスト状況を整理することが、戦略設計の第一歩となります。

The ModelにおけるSDR・BDR
The Model型でBtoBマーケティングを進めていく際、商談創出の実行部隊として重要になるのがSDRとBDRです。どちらもインサイドセールスの文脈で語られることが多い概念ですが、本質的には「役割の違い」ではなく、どこを起点に商談を生み出すかという戦略の違いとして理解する必要があります。
ここでは、SDR・BDRそれぞれの考え方と、The Modelにおける定石を整理していきます。
▼SDR/BDRについては以下の記事で詳しく解説しています。


▼SDR/BDRについては以下の資料をご覧ください。
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SDR・BDRとは
SDRとBDRは、いずれも商談創出を目的としたアプローチですが、主導する起点が異なります。
- BDR(Business Development Representative):セールス起点でアウトバウンドを行い、狙った企業との商談を創出する手法
- SDR(Sales Development Representative):マーケティング起点でリードを獲得し、インバウンド商談を最大化する手法
The Model型でSMBをターゲットとする場合でも、戦略は一律ではありません。重要な分岐点になるのが、ターゲットリストの規模です。
たとえば、業界特化型のサービスでは、条件で絞るとターゲットが2,000〜3,000社程度に収まるケースも珍しくありません。この規模であれば、アウトバウンドによる接触が現実的であり、セールス先行型のBDRが合理的になります。
一方、人事部門向け・営業部門向けなど、業界横断で使われるサービスでは、ターゲットが万単位以上になります。この場合、1社ずつ当たるアウトバウンドは非効率になり、ニーズが顕在化した企業をマーケ施策で炙り出すSDR型が適します。
ターゲットが数千社規模ならBDR、数万社以上ならSDRこれがThe Modelにおける基本的な考え方です。

SDRの定石|インバウンド商談を最大化する
SDRは、マーケティング施策を起点にリードを獲得し、インサイドセールスと連携して商談化を進める手法です。商談管理システムのように、業界や企業規模を問わず導入余地があるホリゾンタル商材では、SDR型が機能しやすくなります。

ターゲットが数万社以上に広がる場合、アウトバウンドで全社に当たるのは非現実的です。そのため、SEOや広告、ホワイトペーパー、ウェビナーといったデジタル施策を通じて、いま関心がある企業だけを効率的に拾うPull型のアプローチが重要になります。
SDRでは施策の選択肢が多いため、初期フェーズでは「何から始めるか」が成果を大きく左右します。ゼロから新規リードを獲得する局面では、比較的立ち上げやすく、成果が出やすいのがホワイトペーパーやウェビナーを起点にした施策です。
ただし、ホワイトペーパーやウェビナーは、情報収集目的のリードも多く含まれるため、獲得しただけでは商談にはつながりません。重要なのは、リード獲得と同時にインサイドセールスが動ける体制を整え、迅速なフォローと継続的な接触を行うことです。
SDRは、マーケティング単体の施策ではなく、マーケとセールスが一体となって商談を最大化する仕組みとして設計することで、The Modelの強みを最大限に活かすことができます。
BDRの定石|アウトバウンドで商談を創出する
BDRは、ターゲットが限定される商材で特に有効です。部署縛りが強い商材や、特定業界向けのバーティカルサービス、大手企業が優先Tierとなる商材などでは、広く集客するよりも狙いを定めて直接アプローチする方が成果につながりやすいと言えます。

ただし、BDRで注意すべきなのは「サービスの受け皿が広い=最初からSDRでいける」と判断してしまうことです。誰にでも使えるサービスは、一見すると間口が広そうに見えますが、競合や代替手段が多い市場では「誰にも刺さらない」状態に陥りやすく、広告やSEOで成果が出ないケースも少なくありません。
そのような場合は、思い切って参入するカテゴリーや業界を絞り、勝てるセグメントを先に固定する方が有効です。業界×従業員規模などで条件を掛け合わせることで、市場を数千社規模まで落とし込み、BDRで攻略する形が現実解になることも多くあります。
BDRの成果は、架電数よりも事前のリスト精度と、運用後の改善スピードに大きく左右されます。実際のコールで得られる失注理由や反応をもとに、訴求軸やトークスクリプトを素早く更新し、PDCAを回していくことが不可欠です。
また、BDRは商談創出だけでなく、ターゲット仮説やサービス訴求を検証するテストマーケティングとしての側面も持ちます。数値だけでなく、顧客の生の声を戦略側に還元できる体制を整えることで、サービス全体の精度向上にもつながります。
BtoBマーケティング施策別の定石
BtoBマーケティングでは、SEO、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告、展示会など、さまざまな施策が存在します。しかし重要なのは、どの施策が優れているかではなく、自社のフェーズや目的に対して、どの施策をどう使うかです。
各施策には、それぞれ成果を出しやすい「定石」と、運用段階で差が出る「ポイント」が存在します。これらを理解せずに施策を実行すると、「やってはいるが成果につながらない」「部分最適に終わる」といった状態に陥りがちです。
ここからは、以下のBtoBマーケティングで代表的な施策について、まず押さえておくべき「定石」と「運用ポイント」 を、具体的に解説していきます。
- SEO・LLMO
- ホワイトペーパー
- ウェビナー
- メルマガ・ナーチャリング
- 広告
- サイト・LP
- 展示会

SEO・LLMO施策の定石
SEO・LLMOは、BtoBマーケティング施策の中でも「中長期で効いてくる接点づくり」を担う施策です。広告やアウトバウンドのように即座に商談を生むものではありませんが、検討フェーズの異なるユーザーと継続的に接点を持ち続けられる点が大きな特徴です。
特にBtoBでは、検討期間が長く、複数の情報収集行動を経て意思決定が行われます。そのため、SEO・LLMOは単なる集客手段ではなく、「検討の途中で何度も想起される存在になるための基盤」として捉える必要があります。
▼SEO・LLMOについては以下の資料をご覧ください。
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▼SEO・LLMOについては以下の記事でも詳しく解説しています。


SEO・LLMOが扱うユーザーのフェーズ
SEOで重要なのは、検索キーワードがユーザーの状態を表しているという点です。たとえば「〇〇とは」のようなキーワードは情報収集の初期段階、「〇〇 比較」「〇〇 選び方」といったキーワードは比較検討フェーズを示しています。
BtoBマーケでは、この検討フェーズの違いを前提に設計できているかが成果を大きく左右します。流入数の多さだけで評価すると、「人は集まるが商談につながらない」状態に陥りがちです。SEO・LLMOは、どのフェーズのユーザーと接点を持つための施策なのかを明確にした上で設計する必要があります。

BtoBで成果を出すためのSEO設計の基本
SEO・LLMOで成果を出すためには、記事単体の出来よりも、設計段階の考え方が重要です。
まず行うべきなのは、ペルソナとカスタマージャーニーの整理です。業界・企業規模・部署・役職といった切り口でペルソナを分け、それぞれが「どの段階で、どんな情報を探すのか」を明確にします。
その上で、以下をひも付けてキーワードを整理します。
- 対象ペルソナ
- 検討フェーズ
- 狙うキーワード
- 想定するCVポイント
検索ボリュームの大きさだけで着手順を決めてしまうと、CVにつながらない記事が量産されやすくなるため注意が必要です。
コンテンツとCVの設計
SEO記事の品質は、執筆段階ではなく構成設計の段階でほぼ決まります。検索上位の記事を確認し、「ユーザーが何を知りたくて検索しているのか」を解釈した上で、自社ならではの視点を加えていきます。
このとき重要なのは、情報を詰め込みすぎないことです。1記事で完結させようとすると、読みづらくなり、結果的に評価も下がります。テーマが大きい場合は、関連テーマを分割し、内部リンクでつなぐ形(トピッククラスター)で設計する方が、BtoBでは成果につながりやすくなります。
SEO記事では、コンテンツそのものだけでなく、どこにどうCV導線を置くかも重要な設計要素です。BtoBの場合、以下のように記事の役割に応じてCVポイントを変える必要があります。
- 潜在層向け記事:ホワイトペーパー、調査レポート
- 顕在層向け記事:資料請求、問い合わせ
また、記事内のCTAだけでなく、サイドバー、記事テンプレート、ポップアップなどを含めた全体設計によって、CVRが大きく変わるケースも少なくありません。

AI時代におけるSEO・LLMOの考え方
近年は、検索エンジンだけでなく生成AI(ChatGPTやGeminiなど)を通じた情報収集が増えています。これにより、AIが検索結果を要約・回答する「AI Overview(AIO)」の影響も無視できなくなっています。
ただし、LLMOはSEOと全く別の施策ではありません。Googleも公式に示している通り、AI向けに特別な対策を行うのではなく、ユーザーにとって有用で信頼できるコンテンツを作ることが前提となります。

実務上は、
- SEOで狙うテーマ・キーワード設計
- コンテンツの専門性・信頼性・独自性
これらが、そのままLLMO対策にもつながっていくと考えるのが現実的です。

また、AIによる要約表示やゼロクリックサーチが増える中で、すべてのキーワードに対してSEO記事を作るべきとは限らなくなっています。特に「定義系」「一般論系」のテーマは、AIで完結してしまうケースも増えています。
そのため、以下のような観点で、テーマを選別することが重要です。
- 自社の経験・事例・実務知見が活かせるテーマか
- AIが要約しても、なお価値が残る内容か
SEO・LLMOは、量を増やす施策ではなく、どの情報を、どの立場で発信するかを選び続ける施策になりつつあります。
まとめ|SEO・LLMOは「考え方と設計」が成果を左右する
BtoBマーケにおいて、SEO・LLMOは以下を一貫して設計できているかが、成果を分けます。
- 誰の、どの検討フェーズに向けた情報か
- その情報が事業成果にどうつながるか
施策単体で評価するのではなく、マーケティング全体の中での役割を明確にした上で取り組むことが重要です。
ホワイトペーパー施策の定石
ホワイトペーパーは、BtoBマーケティング施策の中でも新規リード獲得からナーチャリング、商談創出までを横断できる重要な施策です。単体で成果を出すだけでなく、SEO・広告・メルマガ・インサイドセールスと連動させることで、マーケティング全体の成果を底上げします。
ここでは、ホワイトペーパーを「資料制作」ではなく、マーケティング施策の中核(ハブ)として捉え、設計・制作・活用の定石を整理します。
▼ホワイトペーパーの作り方については以下の資料をご覧ください。
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▼ホワイトペーパーについては以下の記事でも詳しく解説しています。


「単体施策」ではないホワイトペーパーの役割
BtoBにおけるホワイトペーパーは、単なるダウンロードコンテンツではありません。Webサイト上のCV地点として機能するだけでなく、SEOや広告の受け皿となり、さらにメルマガやインサイドセールスでのナーチャリングにも活用できます。
- SEO × ホワイトペーパー:潜在層向けコンテンツのCV地点
- 広告 × ホワイトペーパー:媒体CPAではなく商談CPAで評価
- メルマガ × ホワイトペーパー:熱量検知とIS連動
このように、1つ質の高いホワイトペーパーを用意することで、複数施策を横断して使い回せる“マーケティングのハブ”として機能する点が、最大の特徴です。

カスタマージャーニー起点でのホワイトペーパー設計の考え方
ホワイトペーパーは、カスタマージャーニーに応じて適したテーマや情報の深さが異なります。すべてを同じ設計で作ってしまうと、リードは獲得できても商談につながらない原因になります。
代表的な設計の考え方は以下の通りです。
- 興味・関心層:入門ガイド、業界トレンドなど間口の広いテーマ
- 潜在〜準顕在層:課題解決型、テーマ特化型、イベントレポート
- 顕在・比較検討層:導入事例集、活用事例、実践ガイド
「誰に、どのフェーズで届けるのか」を明確にしたうえで設計することが重要です。

ホワイトペーパーと営業資料の違い
ホワイトペーパー設計でよくある失敗が、営業資料やサービス資料と同じ目線で作ってしまうことです。
営業資料・サービス資料は、自社の商品やメリットを伝える「自社起点」の資料です。一方、ホワイトペーパーは、読者が知りたいこと・解決したいことを軸に構成する「顧客起点」のコンテンツである必要があります。
SEOと同様に、「何を売りたいか」ではなく「どんな情報があれば前に進めるか」という視点で設計することが前提になります。
効果を出すホワイトペーパーの作り方
ここからは、実務レベルで成果につながりやすいホワイトペーパーの作り方を整理します。
▼ホワイトペーパーの作り方については以下の記事でも詳しく解説しています。

「目的」を明確にする
まず最初に行うべきは、ホワイトペーパーの活用目的を明確にすることです。主な目的は以下の3つに分かれます。
- リード獲得
- リード育成(ナーチャリング)
- 商談・クロージング支援
例えば、広告経由でのリード獲得が目的であれば、広く浅いテーマの方が適しているケースもあります。一方、メルマガやインサイドセールスで活用する場合は、より情報密度の高いコンテンツが有効です。

ターゲット・ペルソナを設計する
目的が決まったら、次に行うのがターゲット・ペルソナ設計です。業種、従業員規模、役職、関心・悩みなどを具体化することで、スライド構成や情報の粒度が自然と定まります。
同じテーマでも、業界や役職によってリテラシーや関心は大きく異なります。できる限り解像度の高いペルソナ設定が、完成度を左右します。

「刺さる」テーマを設計する
ホワイトペーパー施策の成否を分けるのが、テーマ設計です。顧客の潜在・顕在課題にどれだけ刺さるテーマを設定できるかが重要になります。
デスクトップリサーチだけでなく、営業やカスタマーサクセスへのヒアリング、既存顧客へのインタビューなどを通じて、現場視点のリアルな課題を拾い上げることが有効です。

ストーリーの延長線上にCTAを置く
ホワイトペーパーの最終ページでは、CTA設計も欠かせません。ただし、突然サービス紹介を差し込むと、違和感や離脱を招きます。
課題提起 → 解決の方向性 → 次のアクション
という流れの中で、自然に問い合わせや相談につなげることがポイントです。

構成・ラフを固めてデザインに入る
効果的なホワイトペーパー制作では、いきなりデザインに入らないことが重要です。
- テーマ・構成設計
- スライドごとの情報設計
- ラフ作成(文章・図解配置)
- デザイン
この順序を守ることで、出戻りや認識齟齬を最小限にできます。特に品質を安定させるためには、ディレクター・ライター・デザイナーで役割分担する体制が有効です。
まとめ|ホワイトペーパーは「作ること」が目的ではない
ホワイトペーパーは、新規獲得・ナーチャリング・商談支援で役割が異なります。
重要なのは、何のために作り、どの施策で、どう使うのかを明確にすることです。マーケティング全体の流れの中で位置づけることで、ホワイトペーパー施策は安定して成果を生み出します。
ウェビナー施策の定石
ウェビナーは、BtoBマーケティング施策の中でも新規リード獲得とナーチャリングの両方に対応できる施策です。開催準備や運営の工数は大きいものの、登壇者の顔が見えるライブ感や安心感は、ホワイトペーパーや記事にはない強みと言えます。
ここでは、ウェビナー施策を成功させるための考え方を、企画・運用の観点から整理します。
▼ウェビナー設計のポイントについては以下の資料をご覧ください。
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ウェビナーは「低ハードルなCV地点」
ウェビナーは、ホワイトペーパーと同じく問い合わせより手前のコンバージョン地点として機能します。加えて、1時間の視聴という行動を伴うため、DL型コンテンツと比べて参加者の熱量が高くなりやすい点が特徴です。
一方で、開催日が固定されるため資産化しづらく、開催後のフォロー体制まで含めた設計が成果を左右します。

ウェビナーの3つの型
BtoBウェビナーは、以下の3タイプに分類できます。
- ハウスウェビナー(自社単独):ハウスリスト向け。ナーチャリングや事例紹介に向く
- 共催ウェビナー(2〜4社):相互集客による新規リード獲得に強い
- カンファレンス型(多数登壇):認知拡大・大量リード獲得向き
特に共催・カンファレンスは、広告費をかけずに集客できる点が大きなメリットです。

成果を出すウェビナー設計のポイント
ここからは、実務レベルで成果につながりやすいウェビナーの作り方を整理します。
企画は「目的」から逆算する
ウェビナー設計では、まず開催目的を明確にすることが重要です。
- 認知拡大・リード獲得 → 共催ウェビナー・カンファレンス
- ナーチャリング・クロージング → ハウスウェビナー・事例/製品紹介
ウェビナーのタイプによって集客難易度やKPI水準が変わるため、目的別にKPIを分けて設計しておくと運用が安定します。

ペルソナとテーマを設計する
SEOやホワイトペーパーと同様に、誰に届けるのかというペルソナ設計は欠かせません。業種・役職・リテラシーによって、刺さるテーマや説明の深さは大きく変わります。
また、テーマは広げすぎず、1テーマを深く掘る設計が有効です。タイトルを見た瞬間に「何が学べるか」が分かる粒度が、参加率に直結します。

申込数だけでなく「着座率」を見る
ウェビナーでは、
- 申込数
- 着座(実参加)
の2つの指標が存在します。特に着座した参加者の方が有効商談につながりやすいため、申込数のうち何人が参加したのかの参加率も必ず確認しましょう。
当日参加できない層向けに、アーカイブ配信を用意するのも有効です。
開催後のフォローまで含めて設計する
ウェビナーは、開催後が最も熱量の高いタイミングです。そのため、終了後すぐにフォローできるインサイドセールス体制が重要になります。
アンケートでは、
- 満足度
- サービスへの興味度
- 抱えている課題
を取得し、フォロー優先度の判断に活用しましょう。アンケート回収率を高めるためのインセンティブ設計も有効です。

アーカイブ活用で費用対効果を高める
ウェビナーは開催工数が大きいため、アーカイブ配信や二次利用によって1回の開催価値を最大化します。
- アーカイブ配信
- 記事・メルマガへの転用
- ナーチャリングコンテンツとして再活用
単発で終わらせない運用が重要です。
まとめ|ウェビナーは「設計と連動」で成果が決まる
ウェビナーは、問い合わせより手前の低ハードルなCV地点として機能しつつ、参加という行動を伴う分、比較的熱量の高いリードを獲得できる施策です。一方で、開催そのものがゴールになってしまうと成果にはつながりません。
重要なのは、
- 目的に応じたウェビナーの型選択
- ペルソナとテーマの明確化
- 申込数だけでなく着座・商談までを見据えた指標設計
- 開催後のインサイドセールス連携・アーカイブ活用
といった前後工程を含めた一貫設計です。
ホワイトペーパーやメルマガ、インサイドセールスと連動させることで、ウェビナーは単発施策ではなく、商談創出を支える強力なハブ施策として機能します。
メルマガ・ナーチャリング施策の定石
メルマガは、BtoBマーケティング施策の中でも最も低コストで継続的に商談創出を支えられるナーチャリング施策です。SEO・ホワイトペーパー・ウェビナーで獲得したリードを放置せず、検討タイミングが訪れた瞬間に選ばれる存在になるためには、メルマガを起点とした関係構築が欠かせません。
ここでは、メルマガを「単なる一斉配信」ではなく、商談につながるナーチャリング施策として機能させるための定石を整理します。
▼メルマガ運用については以下の資料をご覧ください。
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▼ナーチャリングの基本については以下の記事でも詳しく解説しています。

メルマガは「最もコスパの良いBtoB施策」
メルマガは、BtoBマーケティング施策の中でも最も費用対効果が高い施策です。広告などの新規獲得施策はCPAに限界がありますが、既に保有しているハウスリストに対しては、ほぼコスト0でアプローチできます。
重要なのは、施策単体のCPAではなく、販促費全体で有効商談をどれだけ効率よく獲得できているかという視点です。その意味で、メルマガは中長期で複利が効く施策と言えます。

マーケティングメールとセールスメールの違い
メール施策は大きく以下に分かれます。
- セールスメール:営業起点の1to1メール(商談獲得目的)
- マーケティングメール(メルマガ):一斉配信(関係維持・育成目的)
メルマガの役割は、直接売ることではなく「キープインタッチ」です。ホワイトペーパーやウェビナー、記事コンテンツを通じて、「困ったときに最初に思い出される存在」になることが目的です。

マーケティングメールで成果を出すポイント
ここからは、マーケティングメールで成果を出すポイントを整理します。
▼メールでのナーチャリングについては以下の記事でも詳しく解説しています。

KPIは「商談以外」も追う
メルマガでは、商談数だけでなく以下の指標も合わせて追います。
- 開封率
- クリック率
- ホワイトペーパーDL数
- ウェビナー申込数
- Web流入数
ナーチャリング施策では、直接商談につながらない反応も重要な成果です。どのテーマに関心があるのかを把握し、次の打ち手につなげます。

メルマガ本文を「作り込みすぎない」
メルマガの反応は、本文の長さや表現よりもコンテンツの企画とタイトルに大きく左右されます。
そのため、本文は簡潔にまとめ、
- 要点整理
- クリックしやすいCTA
に注力するのが定石です。運用効率を重視し、配信数を増やすことが成果につながります。
数字は「カテゴリ別・一定期間」で評価する
メルマガは配信当日だけでなく、数日後に開封されるケースもあります。そのため、配信後3日など同一条件で評価することが重要です。
また、
- ウェビナー告知
- ホワイトペーパー案内
- サンクスメール
など、カテゴリごとに数値を比較することで改善がしやすくなります。
ナーチャリングは「タイミング」をつくる施策
BtoBでは、検討から購入までに長い時間がかかるケースがほとんどです。メルマガ・ナーチャリングの役割は、今すぐ客を増やすことではなく、検討タイミングが来た瞬間に選ばれる状態をつくることです。
継続的な情報提供によって関係性を維持し、必要になった瞬間に声がかかるポジションを目指します。
▼ナーチャリング設計のポイントについては以下の資料をご覧ください。
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まとめ|メルマガは「育てて回す」施策
メルマガは、
- 低コストで実行できる
- 中長期で商談につながる
- 継続運用で複利が効く
という特徴を持つ、BtoBマーケティングの基盤施策です。
作って終わりではなく、数字を見ながら改善し、自社なりの勝ちパターンを育てていくことが成果の鍵となります。
広告施策の定石
広告は、狙ったターゲットに即効性高く当てられるフロー施策です。ただしBtoBでは「配信して終わり」ではなく、カスタマージャーニー設計・CV設計・IS連携までをセットで組んで初めて、事業成果に直結します。
ここでは、広告施策を成功させるための考え方を整理します。
広告は「最短距離でターゲットに届く」フロー施策
SEOのようなストック施策が育つまで時間がかかる一方、広告は必要な層にすぐ露出・検証・改善できます。特に競合環境が厳しい領域ほど、広告を使わないこと自体が機会損失になりやすいのが実態です。
低ハードルCVにつなげるBtoB広告の役割
BtoBは意思決定が長く、関与者(DMU)が多いため、広告でいきなり購入・契約を狙うのは非効率になりがちです。広告の主目的は、まずは以下のようなマイクロコンバージョン(低ハードルCV)を取りにいくことです。
- ホワイトペーパーDL
- ウェビナー申込
- 事例集DL/比較資料請求
- 無料相談(顕在層向け)
広告施策で成果を出すポイント
ここからは、広告施策で成果を出すポイントを整理します。
配信前の事前準備を徹底する
広告運用の失敗は、運用中ではなく配信前にほぼ決まっているケースが大半です。BtoBでは、どの会社に売るかと、誰が選ぶかが別問題になるため、ペルソナは企業×担当者の二重構造で設計するのが定石です。
- 企業ペルソナ:業界/規模/エリア/組織特性
- 担当者ペルソナ:部署/役職/課題/目標/懸念(稟議・失敗不安)
また、購買は「課題認識→比較検討→稟議」という段階を踏むため、広告もフェーズごとに役割とCV先を分ける設計が欠かせません。KPIについてもリードCPAだけを見るのではなく、商談化率や商談CPAまで含めて評価する視点が必要です。
広告チャネルは「役割」で使い分ける
広告媒体は、成果の良し悪しではなく役割で使い分けることが重要です。
リスティング広告は、検索という能動的行動に紐づくため顕在層の刈り取りに強い一方、CPCが上がりやすい傾向があります。SNS広告は、役職・業種・企業規模などで狙った層に当てられる反面、低ハードルCVでは商談につながっているかの検証が不可欠です。ディスプレイ広告やリターゲティングは、潜在層への想起や再接触を目的とした補完的な役割で活用します。
「論理+安心感」を訴求する
BtoB購買は合理性が軸ですが、意思決定者は「失敗したくない」という不安も抱えています。そのため広告訴求では、効果・数値・投資対効果といった論理面と、事例・実績・支援体制といった安心材料を同時に提示することが重要です。
ファネル上部では注意喚起やインパクト重視の表現も有効ですが、比較検討以降のフェーズでは、根拠と具体性が成果を左右します。
インサイドセールスと連携する
広告施策は単体で完結せず、インサイドセールスとの連携によって初めて事業成果につながります。リード数だけを追うと、商談につながらないリードが増え、ISの工数が浪費されがちです。そのため広告評価は、リードCPAではなく商談CPAを軸に行うことが重要です。
また、MQL/SQLの引き渡し基準をスコア・属性・行動で明文化し、部門間の共通言語にしておくことが、無駄な摩擦を防ぎます。
まとめ|BtoB広告は「設計×連携」で成果が決まる
BtoB広告は、配信テクニックよりも事前設計と部門連携で成果が決まります。誰に・どのフェーズで・何を渡し、どう商談につなげるか。この全体設計を前提に運用できているかが、広告成果の分かれ目です。
サイト・LP制作における定石
BtoBマーケティングにおいて、WebサイトとLPはあらゆる施策の受け皿となる存在です。
ここでは、前半でBtoBマーケを回すために必要なサイト機能、後半で顧客に刺さるサービスLPの設計ポイントを要約して整理します。
▼サイト・LP制作のポイントについては以下の資料をご覧ください。
資料のダウンロードはこちら
Webサイトに求められる機能
BtoBマーケティングにおいてWebサイトは、あらゆる施策の受け皿となる存在です。SEO、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告など、どの施策も最終的にはWebサイトに流入し、情報提供やCVにつながります。
最低限、以下のような機能が揃っていれば、BtoBマーケを回す土台としては問題ありません。
- トップページ
- サービスページ(サービスLP)
- 記事ページ(SEO用)
- 導入事例ページ
- ウェビナーページ
- ホワイトペーパーページ
- お問い合わせページ
- お知らせページ
- 会社概要ページ
- プライバシーポリシー
特に重要なのが、サービスページ/ウェビナーページ/ホワイトペーパーページ/問い合わせページの4つです。これらはそれぞれCVハードルが異なる接点となり、取りこぼしを防ぐ役割を担います。

サービスページ(サービスLP)に求められる役割
サービスページ(サービスLP)は、単一のサービスを訴求する営業装置です。顧客がセルフサーブで情報収集し、問い合わせ可否を判断する場でもあります。
複数サービスを扱う企業では、
- TOPページ:会社全体の活動・強み
- サービスLP:サービス単位での訴求
と役割を分けるのが定石です。一方、単一サービスの場合は、TOPページがサービスLPを兼ねるケースもあります。
重要なのは、FV(ファーストビュー)で完結できているか。サービス内容・価値・CTAがFVに揃っているかどうかで、CVRは大きく変わります。

導入事例がCVRに与える影響
BtoBにおいて導入事例は、最後の意思決定を後押しする材料です。問い合わせ前に、同業種・同規模・近い課題の事例を探して回遊するユーザーは少なくありません。
一定数(目安として10本以上)の事例が揃うと、CVRが安定・向上しやすくなります。業界・規模・用途のバリエーションを意識して蓄積していくことが重要です。
事例制作は突発対応になりやすいため、取材フロー・質問設計・進行表を事前に整えておくと継続しやすくなります。

顧客に刺さるサービスLPの作り方
サービスLPは、単一の商品・サービスを一つのパッケージとして訴求するためのページです。ただし、すべての企業に必須というわけではなく、扱うサービスの数や見せ方によってはトップページがその役割を兼ねるケースもあります。
まずは、自社のサービスをどの単位で伝えるべきかを起点に、LPが本当に必要かを判断することが前提になります。


BtoBサービスLPの基本構成
BtoBサービスLPは、以下の流れが王道です。
- FV・キャッチコピーで興味喚起
- 悩みの共感・課題設定
- 解決策・考え方の提示
- サービス説明・プラン
- 事例・実績・選ばれる理由
顧客に刺さるLPは、いきなりサービス説明から始めません。まずはキャッチコピーやファーストビューで興味を喚起し、次に悩みや課題への共感を通じて自分ごと化を促します。その上で、課題に対する考え方や解決アプローチを提示し、納得感を高めたうえで、自社サービスの特徴や提供価値を説明していく流れが基本となります。
最後に、事例や実績、第三者評価などを通じて「選んでも大丈夫だ」という判断材料を補強します。
サービスLPは「営業を疑似体験させる場」として設計する
顧客に刺さるLPを作るうえで重要なのは、単なる情報掲載ではなく、顧客が営業を受けているような体験をセルフサーブで進められる構成になっているかどうかです。そのため、LPの良し悪しはデザイン以前に、サービスそのものの価値と切り取り方に大きく左右されます。
どの課題に、どの価値で応えるサービスなのかという整理ができていなければ、LPで成果を出すことはできません。
BtoBのLPは「論理」と「安心感」で組み立てる
BtoBでは、情緒的な表現よりも、機能的価値やベネフィットを筋道立てて伝えることが重視されます。加えて、意思決定に伴う失敗不安を和らげるための信頼性や権威性も欠かせません。
そのため、BtoBのサービスLPは、論理性と安心感の両立を前提に構成を組み立てていく必要があります。
サービス説明は「具体性」と「Why me」を意識する
サービス説明のパートでは、アウトプット内容や進行イメージなど、利用後の姿が想像できる具体性が重要になります。
また、機能的価値だけでなく、なぜ自社がこのサービスを提供しているのかという背景やスタンスを伝えることで、他社との差別化や納得感につながります。
特にコンサルティングや無形商材では、この「Why me」が意思決定を後押しする要素になります。
LPは公開後の改善まで含めて設計する
サービスLPは、一度作って終わりではありません。特に広告と組み合わせる場合、CVRはCPAに直結するため、ユーザーの行動を見ながら改善を重ねることが前提になります。
ヒートマップなどを活用し、セクション構成や表現を見直し続けることで、LPは徐々に成果を出すページへと育っていきます。
BtoBサイト・LPでよくある論点
ここでは、BtoBサイト・LPでよく議論される論点を整理します。
コーポレートサイトとサービスサイトは分けるべきか
結論は、運用体制とSEO重視度次第です。
- 統合:SEO評価を集約しやすいが、運用ルールが必須
- 分割:運用は楽だが、SEO効果は分散しやすい
自社の体制・優先度を踏まえて判断しましょう。

サービスLPにSEO対策は必要か
基本的に必要です。サービスLPはBuyクエリ(購入・検討に近い検索)を担うため、タイトル・ディスクリプション・構造化など最低限の対策は行いましょう。

ポップアップは使うべきか
スピーディにCVポイントを追加できる手段として有効です。特にサービスLPでは、問い合わせだけでなく、ホワイトペーパーなど低ハードルCVを用意しておくと成果につながりやすくなります。
まとめ|BtoBサイト・LPは「設計」と「運用」で成果が決まる
BtoBのWebサイトやLPは、施策を受け止め、顧客の検討を前に進めるための基盤です。必要な機能や導線を前提にした設計ができていなければ、どんな施策も成果につながりません。
一方で、作って終わりではなく、公開後の改善を重ねていくことも欠かせません。BtoBサイト・LPは、初期の設計と継続的な運用をセットで考えることで、はじめて成果が積み上がります。
展示会の定石
展示会は、Web施策とは異なり「短期間で大量の名刺・リードを獲得できる」オフライン施策です。一方で、出展費用はまとまった先行投資となり、途中で止めることもできません。
そのため、成果は出展前の設計と当日の動き、出展後のフォローまでを含めた全体設計でほぼ決まります。ここでは、BtoB展示会を無駄にしないための定石を整理します。
展示会は「短期で名刺を増やす」高単価施策
展示会は、短期間で大量の名刺・リードを獲得できる一方、出展費用が先に発生し、途中で止められない“戻れない施策”です。SaaSや有形商材など、その場で説明・デモが成立する商材と相性がよく、製造業などオフラインでの情報収集比率が高い業界では優先度が上がります。
出展先は、テーマだけでなく来場者属性がターゲットと合うか(前年実績・開催エリア等)を起点に選ぶのが定石です。
展示会施策で成果を出すポイント
ここでは展示会で成果を出すポイントを紹介します。
KPIは「名刺枚数」ではなく「商談まで」を設計する
展示会の指標は、来場者数→ブース訪問者数→リード獲得数→有効リード数→商談数→受注数 の順で積み上がります。
母数(来場者数)や小間位置で上振れ下振れが起きるため、出展前に「費用に対して最低限必要なリード数・商談数」を逆算し、当日の動きとフォローの人員計画まで落としておきます。
当日の勝敗は「呼び込み×動線」で決まる
展示会は“出せば人が来る”ではなく、集客(呼び込み)設計で成果が決まります。説明員だけで回すと取りこぼしが起きやすいので、呼び込み・受付・説明・運営統括の役割を分け、必要なら外部スタッフも使って説明員を守ります。
ブースが広くなるほど滞留が起きるため、待ち時間に見られる展示・資料配置など、来場者の動線を滑らかにして離脱を減らすのが定石です。
展示会後のフォローが商談数を左右する
展示会で獲得した名刺は、その場では比較検討の一部に過ぎないことが多く、覚えているうちに接触できるかが商談化を左右します。名刺は当日中から優先度を仕分けできる状態にし、業界・規模・役職・会話内容がインサイドセールスに伝わる形で引き渡します。
展示会は、獲得で終わらせず、フォローまで含めて商談化装置として運用するのが定石です。
まとめ|展示会は「準備・当日・フォロー」で成果が決まる
展示会は一度の出展で大きな費用が発生する分、やり直しがきかない施策です。だからこそ、出展前のKPI設計、当日の集客と導線設計、そして出展後の迅速なフォローまでを一連の施策として捉えることが欠かせません。
展示会を単発イベントで終わらせず、商談につなげるためのプロセスとして設計・運用することが、BtoB展示会成功の定石です。
事業推進の要となる経営企画と営業企画
事業が計画通りに進まない原因は、施策不足ではなく「企画機能の不在」にあるケースが少なくありません。経営の意図と現場の実行をどうつなぐか。その接点に立つのが、経営企画・営業企画です。
ここでは、BtoB事業を前に進めるうえで、なぜこの企画機能が要となるのかを整理していきます。
▼【経営企画・営業企画向け】事業推進のポイントについては以下の資料でも解説しています。
資料のダウンロードはこちら
▼事業推進・事業戦略については以下の記事でも詳しく解説しています。


事業が伸びるかどうかは「企画機能」で決まる
中堅以上の企業では、事業推進の中核を担うのが経営企画・営業企画です。組織規模が大きくなるほど、経営の意思をそのまま現場に伝えることは難しくなり、戦略を整理し、実行可能な形に翻訳する役割が不可欠になります。この企画機能が弱いと、戦略が曖昧なまま現場に投げられ、個別最適の積み重ねに陥りやすくなります。
事業推進における課題【経営・企画・現場の分断】
現場では「方針が抽象的でどう動けばいいかわからない」、企画側では「経営と現場の板挟み」、経営層では「戦略が実行に落ちていない」といったズレが起こりがちです。
本来は同じ方向を向くべき組織が、責任範囲や判断軸が曖昧なまま分断され、結果として推進のリーダーが不在になるケースが多く見られます。

経営企画の本質的な役割【戦略と実務をつなぐ】
経営企画の最大の使命は、企業価値向上という中長期ビジョンを、事業戦略として具体化し、現場のマーケティング・セールスに接続することです。中期経営計画が数字だけで終わり、販売戦略やKPIに落ちていなければ、計画は実行されません。
経営と現場をつなぐハブとして、戦略の解像度を上げ、推進をリードする役割が求められます。
戦略起点のKPIと組織設計
BtoBマーケ・セールスは、SDR型なのか、BDR/ABM型なのかで、必要なKPIも人材要件も大きく変わります。戦略が曖昧なままでは、適切なKPI設計も組織設計もできません。
経営企画・営業企画が主導して事業戦略を定めることで、初めて現場の役割や体制が整理されます。

まとめ|経営企画・営業企画は「事業推進のリーダー」
マーケティングやセールスを現場任せにせず、経営戦略と地続きの事業戦略として設計・推進することが重要です。
経営企画・営業企画が意思決定と実行の中心に立つことで、組織全体が同じ方向を向き、事業成長が再現性をもって進み始めます。
まとめ|戦略と施策をつなぐBtoBマーケティングへ
BtoBマーケティングは、個別施策の集合ではなく、事業成長を支える推進装置です。本記事では、サービス戦略からThe Model・ABM、SDR・BDR、各施策の定石までを通じて、「戦略と施策をどう接続するか」を整理してきました。
成果が出ない原因の多くは、戦略が曖昧なまま施策を積み上げてしまうことにあります。経営のビジョンと事業戦略があり、その下にマーケティング・セールスの施策が位置づけられているか。この構造が崩れると、施策は部分最適に陥ります。
これからのBtoBマーケティングに求められるのは、施策を回す力よりも、全体を設計し、推進する力です。戦略を数で語り、現場が納得して動ける状態をつくれるかどうかが、成長の分かれ目になります。
まずは大きく変えるのではなく、自社の戦略と施策が正しくつながっているかを点検すること。その積み重ねが、再現性のあるBtoBマーケティングを形づくります。
BtoBマーケティングでお悩みの方へ
BtoBマーケティングで成果を出すために重要なのは、施策を増やすことではなく、経営戦略・事業戦略と地続きの設計を行い、実行まで落とし切ることです。
シャコウでは、SEOや広告、ホワイトペーパーといった施策単位の支援にとどまらず、経営企画・営業企画の視点から、事業成長につながるマーケティング・セールスの全体設計と推進を支援しています。
- 戦略はあるが、現場に落とし込めていない
- 施策は回っているが、商談・受注につながらない
- 経営・企画・現場の間にズレが生じている
こうした課題に対して、戦略設計からKPI設計、施策接続、実行フェーズまで一貫して伴走します。
BtoBマーケティングを「点の施策」から「事業推進の仕組み」へ進化させたい方は、ぜひ一度、シャコウにご相談ください。











