近年、BtoB領域でのマーケティング手法の1つとしてコンテンツマーケティングが注目されています。BtoBコンテンツマーケティングを活用することで、企業が提供する価値を適切に伝え、リードとの関係性の構築・維持ができる点が大きな魅力です。
しかし、コンテンツマーケティングを成功させるには、BtoB特有の商談プロセスやターゲット層に合わせた適切な戦略を立てる必要があります。
本記事では、BtoB コンテンツマーケティングの基本から、具体的な戦略の立て方、効果的な手法などを解説します。これからコンテンツマーケティングを始めたい方や、現在の施策を強化したい方に向けて参考となる内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
シャコウではBtoBマーケティングに関する情報をYouTubeで発信しています。初心者の方でもBtoBマーケティングを網羅的に理解できる内容になっていますので、ぜひ参考にご視聴ください。
▼ゼロから始めるBtoBマーケティング第1項
「The Model(ザ・モデル)とは?BtoBマーケ・セールスはなぜ失敗する?」編
BtoBコンテンツマーケティングとは?基本的な概要を説明
BtoBコンテンツマーケティングとは
BtoBコンテンツマーケティングとは、BtoB企業がユーザーに有益な情報をコンテンツとして発信するマーケティング手法で、BtoBマーケティングの一種です。
単なる商品やサービスの広告や、直接的な営業活動とは異なり、ターゲットとなる企業が抱える課題をコンテンツで解決し、購買意欲を向上させることを最終的なゴールとしています。
提供されるコンテンツには、例えばホワイトペーパーや記事、動画などがあり、ユーザーの課題や商品の検討度合いに応じて適したコンテンツが提供されます。
▼BtoBマーケティングの基本的な概要が知りたい方は以下の記事をご覧ください。
BtoBコンテンツマーケティングの効果
BtoBコンテンツマーケティングには以下のような効果があります。
- 認知度の向上
ユーザーにとって有益で価値のあるコンテンツを提供することで、業界内での自社の存在感を高めることができます。
- 新たな層の獲得
さまざまなコンテンツを活用した配信によって、今まで接点のなかったターゲット層にもリーチが可能です。
- 第一想起の獲得
潜在顧客が課題解決のために商品やサービスの導入を検討する際に、業界内で最初に思い浮かぶ企業として認識されるポジションを築けます。
- ブランディング
一貫したメッセージや専門的な情報を発信することで、自社ブランドの価値や信頼性を高めることができます。
- 顧客との長期的な関係構築・維持
定期的なコンテンツ提供を通じて、顧客との接点を増やし、信頼関係の強化や関係維持が可能です。
BtoBコンテンツマーケティングの役割
BtoBコンテンツマーケティングをうまく実施できれば、リードの獲得から育成までのプロセスを効果的に行えます。ここではBtoBコンテンツマーケティングの役割とも言える「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」について紹介します。
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは将来的に自社の顧客となる可能性のあるユーザーを獲得する活動のことです。具体的には、自社の顧客になる可能性のあるターゲットとの接点を作り、会社名や名前、電話番号、メールアドレスなどの情報を引き出します。
BtoBマーケティングでは、リードジェネレーションが最初の重要なステップとされており、コンテンツマーケティングを含むさまざまな施策がこの目的のために行われます。中でもBtoBコンテンツマーケティングは、顧客の課題やニーズに応じた価値ある情報を提供することで、見込み顧客との接点を自然に生み出す効果的な手法として重要です。
リードナーチャリング
リードジェネレーションで集めたリードを、商品の購入に至るように育成する活動をリードナーチャリングと言います。BtoBコンテンツマーケティングは、このリードナーチャリングにおいて極めて重要な役割を果たします。
獲得したリードの中には、「すぐには購入を検討しない層」と「購入意欲が高い層」の2つの層が存在します。特に「すぐには購入を検討しない層」に対して、ホワイトペーパーや記事、動画などの有益なコンテンツを提供することで、購買意欲を徐々に高め、「購入意欲が高い層」となるよう育成します。
BtoBコンテンツマーケティングの5つのステップ
BtoBマーケティングは以下の流れで行われます。
- 現状の把握と目的の明確化
- ターゲットの設定
- コンテンツ企画・立案
- コンテンツ制作
- 配信・運用
- 効果測定・改善
ここではそれぞれステップでの考え方や具体的な方法を解説します。
現状の把握と目的の明確化
まずは、現在の自社の状況を正確に把握し、コンテンツマーケティングの目的を明確に設定します。これには、認知度向上やリード獲得数、売上目標といった具体的なゴールを定めることが含まれます。
①自社の強みや課題を洗い出し、競合分析を実施
②短期的・長期的な目標を設定し、それを達成するためのKPIを定める
自社・競合の分析方法にはいくつかフレームワークがあります。ここでは代表的なフレームワークとして3C分析を紹介します。
- 3C分析:Customer(市場・顧客)、 Competitor(競合)、Company(自社)の3つのCを分析する手法
3C分析は自社の競合優位性を抽出でき、戦略立案に役立ちます。
続いて、実施の目的と目標を設定し、チームで共有することが重要です。
目的:コンテンツマーケティングで実現したい最終的な状態
目標:目的や途中の状態を数値で表したもの
目標は、具体的な数値でのKPI・KGIで設定します。
- KGI:最終的に達成したい状態を示す数値(売上目標、顧客単価、Webサイト流入数など)
- KPI:KGIを達成するためのプロセスとなる指標。KPIはKGIから逆算して設定する
業界やビジネスモデルによって適切な数値が異なるため、自社の場合はどのような数値設定が必要なのかをリサーチすると良いでしょう。
▼KGI・KPIの設定の例
ターゲットの設定
続いて、自社の商品やサービスで解決できる課題を持つターゲットを設定します。これには、ペルソナと呼ばれるターゲットの特徴を具体化した人物像設計が含まれます。ペルソナで設計すべき項目は以下のとおりです。
- 氏名、年齢、性別、役職などの基本的な属性
- 業界、企業規模などの企業情報
- 顧客が抱える課題やニーズ
- 情報収集の方法など購買プロセスにおける各ステージでの行動・情報ニーズ
項目の設定に迷う際には、以下の方法を参考にしてください。
- 既存顧客の定量的なデータを元に、ターゲットの特徴を具体化する
- 担当営業者へのヒアリングで「なぜ受注できたのか」「なぜ自社を選んでくれたのか」を確認する
- ユーザーテスト・アンケートで顧客の具体的な言動や感情などの定性的なデータを確認する
コンテンツ企画・立案
続いて、ターゲットに提供するコンテンツを企画します。具体的には、顧客の課題解決に役立つ情報を提供し、購買意思決定を後押しする内容で設計します。
コンテンツ企画の流れは以下のとおりです。
- コンテンツマップの作成
コンテンツマップとは、ターゲット顧客の購買プロセス(認知、検討、意思決定の各段階)に応じて、提供すべきコンテンツを整理し計画するためのツールです。例えば認知段階の顧客には業界動向やトレンドのコンテンツ、検討段階の顧客には課題解決につながるコンテンツ、意思決定段階には自社事例や実績を示すコンテンツ、といったように計画をします。これにより、顧客の状況に最適な情報をタイミングよく提供できます。
- トピックの選定
顧客に響くコンテンツを制作するには、適切なトピック選びが重要です。ターゲットの検討度合いや興味・課題に応じて具体的なテーマを決定しましょう。
例:業界トレンド、製品活用事例、成功事例
- コンテンツ形式の選定
顧客に効果的に情報を届けるためには、伝える内容だけでなく、どのコンテンツ形式で伝えるかも重要です。各形式には、それぞれの特性や活用シーンがあります。具体的な施策については、以降の章で解説します。
例:ホワイトペーパー、ブログ記事、動画、ウェビナーなど
コンテンツ制作
企画した内容に基づき、実際にコンテンツを制作します。この段階では、質の高い情報を提供するだけでなく、視覚的にも分かりやすく、魅力的なデザインを意識することが重要です。
- 専門的で信頼性のある独自の情報を盛り込む
- ターゲットの関心を引きつけるコピーやビジュアルを取り入れる
- ターゲットにとってわかりやすい表現や適切な配置を考える
配信・運用
制作したコンテンツを適切なチャネルで配信し、ターゲットに届けます。配信チャネルはメールや検索エンジン、SNSなどさまざまで、ターゲット像や選んだコンテンツ形式によって最適なものを選ぶのが重要です。
配信後は、効果的に運用するための活動も継続的に行いましょう。BtoBコンテンツマーケティングは1つの施策を実行して終わりではなく、その後の分析・改善が鍵となります。それぞれの施策を終えた段階で目標の数値に対する達成率を計測し、改善点を分析した上で次の施策に反映し、また実行、と繰り返していく必要があります。
BtoBコンテンツマーケティングは、すぐに効果が出るものではありません。長期的な視点で、継続的に取り組む必要のある施策であることを忘れないようにしましょう。
BtoBコンテンツマーケティングの具体的な6つの手法
ここでは、「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」における効果的な施策を解説します。
オウンドメディア運用
オウンドメディアは、自社が運営するWebサイトやブログを通じて、ユーザーに対して有益な情報を提供する手法です。オウンドメディアの記事は、SEO対策により集客に活用できるだけでなく、リードの課題感や検討度合いに応じた記事の配信によってナーチャリングにも有効です。
- 目的
ターゲット層が興味を持つコンテンツを定期的に発信し、SEOでの検索流入増加や、リードの育成を図る
- メリット
長期的に資産となるコンテンツを蓄積できる
- 例
業界トレンドに関する記事、特定の課題に対する解決策を提示する記事、商品・サービスの導入事例紹介 など
SNS
SNSを活用したマーケティングは、BtoBでも重要性を増しています。X(旧Twitter)やFacebook、LinkedInなど、ビジネス利用が盛んなプラットフォームが特に効果的です。SNSによって利用者の属性が大きく異なるため、ターゲットの属性に合わせてSNSを選ぶことで大きな効果が期待できます。
- 目的
認知度を高め、ターゲットとの接点強化やエンゲージメント向上を図る
- メリット
リアルタイムな情報発信が可能で、双方向のコミュニケーションが可能
- 例
業界ニュースの共有、イベント告知、ブログ記事のプロモーション など
動画
動画は、視覚的な訴求力が高く、複雑な情報をわかりやすく伝える手段として有効です。例えば、YouTubeの運用をコンテンツマーケティングの1つとして取り入れ、特定のテーマにおける用語解説や、課題解決につながる情報の提供などを動画で行っている企業は多く存在します。
- 目的
視覚的な情報提供で商品・サービスの理解を促進させる
- メリット
視覚と聴覚に訴えかけるため、エンゲージメントが高まりやすい
- 例
解決策や専門知識を解説する動画、商品デモ動画、顧客インタビュー動画 など
メルマガ
メルマガは、過去に問い合わせや資料ダウンロード、ウェビナー参加をしたリードに向けて、有益な情報をメールで発信します。見込み顧客や既存顧客との接点を維持するための効果的な手法です。サービス情報やキャンペーンのお知らせ、ウェビナー開催のお知らせなどのメールを継続して送ることで、リードとの関係構築につながります。
- 目的
メールによる継続的な情報提供を通じて、リードナーチャリングを行う
- メリット
パーソナライズが可能で、顧客ごとに適切なメッセージを配信できる
- 例
定期的なニュースレター、キャンペーン情報、役立つコンテンツの案内、Web記事更新のお知らせ など
ウェビナー・セミナー
ウェビナーやセミナーは、特定の課題を解決したい層や、自社商品やサービスに興味のある層に向けたアプローチが可能な施策です。リアルタイムで顧客とコミュニケーションを取れるため、ニーズの把握や課題解決がしやすく、関係構築がしやすいという特徴があります。テーマ次第では自社商品のアピールができ、セミナーの場合は終了後にそのまま商談につながるケースもあります。
- 目的
ターゲットに合わせた企画を行い、新規リードを獲得する
専門知識の提供や製品の詳細説明を行い、リードを育成する
- メリット
顧客の具体的な疑問に対してリアルタイムで回答でき、関係構築が可能
- 例
業界の最新トレンド解説、特定の課題に対する解決策の解説、商品・サービスの活用事例 など
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、顧客の課題解決や業界のトレンド、調査結果など、顧客にとって有益な情報を提供する資料です。これをダウンロードするユーザーは特定の課題や情報収集のニーズを持っているため、その後の関係構築や商談獲得が比較的しやすいのが特徴です。また、リードの関心度合いに応じて資料を使い分けることで、より効果的なアプローチが可能です。
- 目的
顧客の課題解決に役立つ知識を提供し、リード獲得や育成を行う
- メリット
顧客はすでに課題や情報収集ニーズを持っており、その後の関係構築や商談獲得につながりやすい
- 例
業界レポート、課題解決策ガイド、自社サービスの導入事例 など
▼以下の記事でホワイトペーパーの事例やサンプル、作り方について紹介しています。
BtoBコンテンツマーケティングの成功の3つのポイント
BtoBコンテンツマーケティングを成功させるには、いくつかのコツが存在します。ここでは成功に導く3つのポイントを紹介します。
一貫したメッセージの発信
BtoBコンテンツマーケティングの成功には、一貫性のあるメッセージが欠かせません。すべてのコンテンツを通じて、ブランドの価値を、顧客に明確に伝えることが重要です。
そのためには、複数のチームやチャネルでメッセージが統一されるよう、チーム全体での目的の把握や、チャネルごとのガイドラインの設定を検討しましょう。一貫したメッセージは、ブランディングにつながり、顧客に信頼感や安心感を与えます。
継続的な効果測定と改善
BtoBコンテンツマーケティングで成果を上げるためには、長期的な取り組みが必要です。実施した施策に対しては効果測定を行い、コンテンツや配信戦略の改善を続けましょう。効果測定のポイントは以下のとおりです。
- トラフィック数やコンバージョン率、ダウンロード数などの定量的指標を分析
- 顧客からのフィードバックや閲覧時間など、質的な評価を分析
データに基づいた改善を繰り返すことで、コンテンツの質が高まり、より効果的なマーケティング活動が可能です。
コンテンツを継続して作れる体制づくり
BtoBコンテンツマーケティングに継続的に取り組むには、コンテンツ制作の体制づくりが重要です。コンテンツ制作には多くのリソースが必要となるので、社内だけでの制作が難しい場合は、外注も検討しましょう。内製と外注を適切に使い分けることで、効果的なコンテンツ制作が可能です。
内製のメリット
- 自社の専門知識や独自性を反映しやすい
- 社内にノウハウを蓄積できる
外注のメリット
- 質の高いコンテンツが期待できる
- リソース不足をカバーでき、短期間で制作できる
特に、コンテンツ企画やデザイン、ライティングなど専門性が高い業務は、外注に頼るのが効果的です。
▼以下の資料では、ホワイトペーパーの作り方を詳しく解説しています。内製と外注での制作の違いも解説していますので、ホワイトペーパー施策をお考えの方はぜひご覧ください。
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