インサイドセールスを運用するうえで、架電数やメール送信数などのKPIを設定している企業は少なくありません。しかし、「架電量は追えているのに商談化につながらない」「KPIを設定したものの、現場では形骸化している」と感じるケースも多いのではないでしょうか。

本記事では、インサイドセールスで追うべきKPIを「活動量・質・成果」の3層で整理し、KGIから逆算する設定手順、SDR/BDR別のKPI設計、KPIが形骸化する原因と防止策まで解説します。さらに、架電量中心のKPIから商談化率中心のKPIへ移行する判断基準も紹介します。

電球

この記事の重要ポイント

・インサイドセールスのKPIは、成果が出ない原因をプロセスごとに特定するために必要
・KPIは活動量・質・成果の3層で整理し、商談化率や有効商談数まで見ることが重要
・KPIは現場の活動量からではなく、KGIから逆算して設計する必要がある
・架電量中心で成果が伸びない場合は、商談化率を主軸にしたKPI設計へ移行すべき

シャコウではBtoBマーケティングに関する情報をYouTubeで発信しています。初心者の方でも網羅的に理解できる内容になっていますので、ぜひ参考にご視聴ください。

▼インサイドセールスの定石|マーケ連動で成果最大化を実現する運用Tipsとは?SDR/BDR別に徹底解説!

 

目次

インサイドセールスにKPIが必要な3つの理由

インサイドセールスで成果を安定的に生み出すには、活動内容を数値で把握し、改善につなげる仕組みが必要です。ここでは、インサイドセールスにKPIが必要な理由を3つの観点から解説します。

成果が出ない原因をプロセスごとに特定するため

インサイドセールスでは、最終的な商談数だけを見ても、成果が出ない原因までは分かりません。

たとえば、月間の商談数が目標に届いていない場合でも、原因は1つとは限りません。そもそもの架電数やメール送信数が不足している場合もあれば、接続率が低く顧客と会話できていない場合もあります。接続はできているものの、トーク内容や訴求内容が合わず、商談化につながっていないケースもあります。

このように、成果が出ない原因は営業プロセスごとに異なります。

確認するKPI 分かること 主な改善策
架電数・メール送信数 接触量が足りているか アプローチ件数を増やす、優先リストを整理する
接続率 顧客と会話できているか 架電時間帯、リスト鮮度、担当者情報を見直す
メール返信率 メールの訴求に反応があるか 件名、本文、CTA、送信タイミングを改善する
商談化率 接続後に商談へ進められているか トーク設計、課題ヒアリング、商談化条件を見直す
有効商談数 フィールドセールスに渡せる商談を創出できているか 商談化基準や引き継ぎ条件を見直す

KPIを設定していれば、課題が「量」にあるのか、「接続」にあるのか、「商談化」にあるのかを切り分けられます。反対に、KPIがない状態では、商談数が不足していても原因を特定できず、「もっと架電しよう」「トークを改善しよう」といった感覚的な改善にとどまりやすくなります。

メンバーごとの改善ポイントを明確にするため

KPIは、チーム全体の成果を見るだけでなく、メンバーごとの改善ポイントを把握するうえでも重要です。

同じ商談数を目標にしていても、メンバーによって課題は異なります。あるメンバーは架電数が不足している一方で、別のメンバーは架電数は十分でも商談化率が低いかもしれません。また、接続率は高いものの、有効商談につながる割合が低いケースもあります。

このような違いを把握せず、全員に同じ改善指示を出してしまうと、成果につながりにくくなります。

たとえば、架電数が不足しているメンバーには、行動量の確保や優先順位の見直しが必要です。一方で、接続後の商談化率が低いメンバーには、トークスクリプトの改善やヒアリング項目の見直しが必要になります。

KPIを分けて確認することで、メンバーごとに「何を改善すべきか」が明確になります。結果として、マネジメントや育成も属人的なアドバイスではなく、具体的な数値に基づいて行いやすくなります。

マーケティング・営業との連携基準を揃えるため

インサイドセールスのKPIは、マーケティング部門やフィールドセールス部門との連携基準を揃えるためにも必要です。

BtoB営業では、マーケティングがリードを獲得し、インサイドセールスが商談化し、フィールドセールスが受注につなげる流れが一般的です。このとき、各部門で見る指標や定義がズレていると、営業ファネル全体の改善が難しくなります。

たとえば、マーケティング部門が獲得したMQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング活動で創出された見込み顧客)を、どの条件でインサイドセールスが対応するのか。インサイドセールスが創出した商談を、どの状態でフィールドセールスへ引き継ぐのか。こうした基準が曖昧なままだと、部門間で認識のズレが起こります。

インサイドセールス側では商談化したと考えていても、フィールドセールス側では「まだ提案に進める状態ではない」と判断されることもあります。その場合、商談数は増えているように見えても、有効商談や受注にはつながりにくくなります。

KPIを設計する際は、次のような定義を部門間で揃えておくことが重要です。

  • MQLをどの条件でインサイドセールスに渡すか
  • SQL(Sales Qualified Lead:営業対応すべき見込み顧客)をどの状態と定義するか
  • 商談化をどのタイミングでカウントするか
  • 有効商談の条件をどこまで満たすべきか
  • フィールドセールスへの引き継ぎ時に何を共有するか

KPIを共通言語として設計できれば、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスが同じ基準で営業ファネルを確認できます。結果として、どの部門のどのプロセスで成果が止まっているのかを把握しやすくなり、部門をまたいだ改善も進めやすくなります。

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白ポメちゃん

インサイドセールスにもちゃんとしたKPIが必要なんですね!でもどんなKPIがあるの??

インサイドセールスの主要KPI指標一覧【活動量・質・成果】

インサイドセールスのKPIは、大きく「活動量KPI」「質KPI」「成果KPI」の3層に分けて整理できます。

分類 主なKPI 目的
活動量KPI 架電数、コール数、メール送信数、アプローチ件数 十分な接触量を確保できているかを確認する
質KPI 接続率、メール開封率、返信率、初動対応スピード アプローチの質や接点創出力を確認する
成果KPI 商談化率、有効商談数、受注数、創出パイプライン価値 売上・商談創出への貢献度を確認する

重要なのは、どれか1つのKPIだけを見るのではなく、3層をつなげて見ることです。

架電数が多くても接続率が低ければ、リストの質や架電時間帯に課題があるかもしれません。接続率が高くても商談化率が低ければ、トーク設計やターゲット選定に改善余地がある可能性があります。

KPIは多く設定すればよいわけではありません。管理すべき指標が増えすぎると、現場が何を優先すべきか分からなくなります。まずは3〜5個程度に絞り、最も重視する主KPIと、原因分析に使う補助KPIを分けて設計することが重要です。

活動量KPI

活動量KPIは、インサイドセールスの基本となる指標です。代表的なものに、以下のようなものがあります。

  • 架電数
  • コール数
  • メール送信数
  • アプローチ件数 など

架電数をKPIにする場合は、まず「何を1架電とカウントするか」を決める必要があります。発信した時点でカウントするのか、相手につながった場合のみカウントするのかによって、数値の意味が変わるためです。

SDRでは、問い合わせ後の初動対応件数やMQL処理件数が活動量KPIになります。一方、BDRでは、ターゲットアカウントへの架電数や接触数が重要になります。

ただし、架電数やメール送信数はあくまで手段指標です。活動量だけを追い続けると、「電話はしているが商談につながらない」という状態を見落とす可能性があります。活動量KPIは、接続率や商談化率とセットで見ることが前提です。

質KPI

質KPIは、アプローチの質を確認するための指標です。代表的なものに、以下のようなものがあります。

  • 接続率
  • コネクト率
  • メール開封率
  • 返信率
  • クリック率
  • 初動対応スピード など

接続率は、架電数に対して顧客と会話できた割合を示します。

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接続率 = 接続数 ÷ 架電数 × 100

接続率が低い場合は、架電時間帯、リストの鮮度、電話番号の正確性、架電理由の伝え方などを見直す必要があります。たとえば、同じ架電数でも、午前中と夕方で接続率が変わることがあるため、時間帯別に接続率を確認することで、改善の打ち手が見えやすくなります。

メール施策では、開封率、返信率、クリック率を確認します。メール開封率が低い場合は件名や送信タイミング、返信率が低い場合は本文の訴求内容やCTAに課題がある可能性があります。

また、接続率やメール開封率の目安は業界、商材、ターゲット、リストの質によって大きく異なります。一般的な目安をそのまま当てはめるのではなく、まずは自社の実績値を蓄積し、改善前後の変化を見ることが重要です。

成果KPI

成果KPIは、インサイドセールスが売上や商談創出にどれだけ貢献しているかを確認する指標です。代表的なものに、以下のようなものがあります。

  • 商談化率
  • 有効商談数
  • 受注数
  • 受注金額
  • 創出パイプライン価値 など

商談化率は、アプローチした見込み顧客のうち、商談設定に至った割合を示します。

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商談化率 = 商談数 ÷ 接続数 × 100

ただし、商談化率の定義には注意が必要です。架電数に対する商談化率なのか、接続数に対する商談化率なのかで、数値の意味が変わります。社内で定義が揃っていないと、KPIを比較しても正しい判断ができません。

また、BtoB営業では「商談数」だけでなく「有効商談数」を見ることも重要です。有効商談とは、フィールドセールスが提案に進めるべき商談のことです。BANT(Budget:予算、Authority:決裁権、Need:ニーズ、Timeline:導入時期)などの条件をどこまで満たしていれば有効商談とするのか、事前に定義しておきましょう。

経営層への説明では、創出パイプライン価値も有効です。

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創出パイプライン価値 = 商談件数 × 平均受注単価 × 想定受注率

単なる商談数ではなく、将来的な売上見込みとして示すことで、インサイドセールスの事業貢献を説明しやすくなります。

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SDR・BDR別】インサイドセールスのKPI指標

インサイドセールスのKPIは、SDRとBDRで分けて考える必要があります。両者は同じインサイドセールスでも、役割と追うべき指標が異なるためです。

SDRは、問い合わせや資料請求、セミナー参加など、すでに接点のあるリードに対応する役割です。そのため、スピードや対応品質が重要になります。

一方、BDRは、まだ接点のないターゲット企業に対して能動的にアプローチする役割です。ターゲットアカウントの選定、接触率、商談化率、有効商談数が重要になります。

役割 主な対象 重視すべきKPI
SDR 問い合わせ・資料請求・セミナー参加者など 初動対応スピード、MQL処理率、SQL転換率、商談化率
BDR ターゲット企業・未接点アカウント 架電数、接触率、ターゲットアカウント接触率、有効商談数、商談化率

SDRでは、問い合わせ後の対応が遅れると温度感が下がりやすいため、初動対応スピードをKPIに含めると有効です。たとえば「問い合わせ後◯分以内に初回接触する」といった基準を設けることで、機会損失を防ぎやすくなります。

BDRでは、単なる架電数だけでなく、ターゲットアカウントへの接触率や有効商談化率を見ることが重要です。リストに対してどれだけ接触できたか、接触後にどれだけ商談化できたかを追うことで、ターゲット選定や訴求内容の精度を改善できます。

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【フェーズ別】インサイドセールスのKPI指標

インサイドセールスのKPIは、組織フェーズによって変える必要があります。立ち上げ期から安定期まで同じKPIを追い続けると、組織の成長に合わなくなるためです。

フェーズ 状態 主KPI 管理頻度 見るべきポイント 補助KPI
立ち上げ期 活動量と運用ルールを整える段階 架電数、メール送信数、接続率 週次 十分な活動量を確保できているか 商談化率、有効商談数
成長期 接続や商談創出の質を改善する段階 商談化率、有効商談数 週次・月次 接続後に商談化できているか 架電数、接続率、返信率
安定期 売上貢献を最大化する段階 受注貢献金額、創出パイプライン価値 月次・四半期 売上成果にどれだけ貢献しているか 商談化率、行動量KPI

立ち上げ期は、まず十分な活動量を確保することが重要です。架電数やメール送信数を主KPIにし、運用ルールや入力ルールを定着させます。

成長期に入ると、活動量だけではなく、接続率や商談化率の改善が重要になります。架電数は補助KPIに下げ、商談化率や有効商談数を主KPIに移行していく必要があります。

安定期では、商談数だけでなく、受注貢献金額や創出パイプライン価値を見ることで、事業成果との接続を強めていきます。

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インサイドセールスKPIが機能しない失敗パターンとその対策

インサイドセールスでKPIを設定しても、必ず成果につながるわけではありません。KPIの置き方や運用方法を誤ると、現場にとって「管理されるための数字」になり、改善に活かされなくなってしまいます。

ここでは、インサイドセールスKPIが機能しにくい代表的な失敗パターンと、防止策を解説します。

行動量KPIだけを追っている

よくある失敗が、架電数やメール送信数などの行動量KPIだけを追っているケースです。

もちろん、インサイドセールスの立ち上げ期には、一定の活動量を確保することが重要です。十分な架電数やメール送信数がなければ、接続数や商談数も増えにくいためです。

しかし、一定量の活動ができているにもかかわらず商談化率が伸びない場合、課題は「量」ではなく「質」にある可能性があります。たとえば、架電数は目標を達成しているのに商談化につながらない場合、ターゲットリストの精度、架電時間帯、初回トーク、ヒアリング内容、商談化基準などを見直す必要があります。

行動量を増やせば、一時的に商談数が増えることはありますが、接続率や商談化率が改善されなければ、リストが枯渇した段階で成果が頭打ちになるでしょう。

そのため、行動量KPIは単独で見るのではなく、接続率、商談化率、有効商談数などとあわせて確認することが重要です。「量は足りているのに成果が出ない」状態になったら、質KPIを見直すタイミングだと考えましょう。

目標値が非現実的で現場が諦めている

KPIの目標値が現実離れしている場合も、KPIは機能しにくくなります。

たとえば、過去実績に対して大幅に高い商談化率や有効商談数を設定しても、達成までの道筋が見えなければ、現場は最初から諦めてしまいます。KPIが「改善のための指標」ではなく、「未達を責められる数字」として受け止められると、運用は形骸化しやすくなります。

一方で、簡単に達成できる目標だけを設定しても、改善にはつながりません。重要なのは、過去実績や現在の体制を踏まえたうえで、少し背伸びすれば届く水準に設定することです。

特にインサイドセールスの立ち上げ期は、最初から正確な目標値を置くのが難しいケースもあります。その場合は、初期値として仮のKPIを設定し、1〜3ヶ月程度の運用データをもとに見直すとよいでしょう。

KPIの数が多すぎて優先順位が分からない

KPIを多く設定しすぎることも、形骸化の原因になります。

架電数、接続率、メール開封率、返信率、商談化率、有効商談数、受注率などをすべて同じ重みで追うと、現場は何を優先すべきか分からなくなります。結果として、数字を記録すること自体が目的になり、改善アクションにつながりにくくなります。

KPIは多ければよいわけではありません。むしろ、現場が日々意識すべき指標は絞る必要があります。

たとえば、立ち上げ期であれば「架電数」「接続率」「商談化率」を中心に見る。成長期であれば「商談化率」「有効商談数」を主KPIにし、架電数や接続率は補助KPIとして確認する。安定期であれば、受注貢献やパイプライン価値まで見る、といったように、フェーズに応じて優先順位を変えることが重要です。

最初から多くのKPIを並べるのではなく、主KPIを1つ決め、その原因分析に必要な補助KPIを2〜4個設定する程度に絞ると、運用しやすくなります。

KPIを設定しただけで運用ルールがない

KPIを設定しても、確認頻度や振り返り方法が決まっていなければ、改善にはつながりません。

たとえば、商談化率をKPIにしていても、週次で確認するのか、月次で確認するのかが曖昧なままだと、問題の発見が遅れます。また、数値が悪化したときに誰が原因を分析し、どのように改善策を決めるのかが決まっていなければ、KPIはただの報告項目になってしまいます。

KPIを機能させるには、指標そのものだけでなく、運用ルールもセットで設計する必要があります。

具体的には、次のような項目を決めておくとよいでしょう。

  • どのKPIを週次・月次で確認するか
  • 目標未達の場合、どの指標から原因を確認するか
  • SFA/CRMへどの項目を入力するか
  • 誰が数値を確認し、誰が改善施策を決めるか
  • KPIの見直しをどのタイミングで行うか

KPIは設定して終わりではなく、改善に活用して初めて意味を持ちます。現場が納得できる目標値を置き、定期的に振り返る運用ルールを整えることで、KPIの形骸化を防ぎやすくなります。

KPIより前に抑えておきたいBtoBビジネスモデル リンク設定済:クリックして変更 資料ダウンロード

KGIから逆算するインサイドセールスKPI設定の3ステップ

インサイドセールスのKPIは、現場の活動量から積み上げるだけではなく、KGIから逆算して設定することが重要です。

KGIとは、最終的に達成したい目標です。たとえば「月次受注金額1,000万円」「月間受注件数10件」「新規商談からの売上創出額」などが該当します。KPIは、そのKGIを達成するために必要なプロセス指標です。

KPI設定は、次の4ステップで進めます。

  1. KGIを確定する
  2. 営業ファネルを分解する
  3. 各KPIの数値目標を設定する
  4. KPIの定義をチーム・他部門で合意する

KGIとKPIの関係をKPIツリーで整理する

まずは、KGIとKPIの関係をKPIツリーで整理します。

例として、KGIを「月間受注件数3件」とした場合、次のように逆算できます。

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月間受注件数3件
└ 必要商談数:10件
└ 必要接続数:50件
└ 必要架電数:200件

このようにKGIから逆算すると、単に「今月は架電を頑張る」ではなく、「受注3件を達成するために、商談10件、接続50件、架電200件が必要」という形で具体化できます。

KPIツリーは、目標設定だけでなく、ボトルネック発見にも使えます。架電数は達成しているのに接続数が足りない場合は、リストや架電時間帯に課題がある可能性があります。接続数は足りているのに商談数が少ない場合は、トーク設計やターゲット選定を見直す必要があります。

ファネル転換率から各KPIの数値目標を計算する

KPIの数値目標は、ファネルごとの転換率をもとに計算します。

たとえば、月間で有効商談10件を創出したい場合、次のように考えます。

項目 仮定値 必要数
目標有効商談数 10件
接続後の商談化率 20% 接続50件
架電からの接続率 25% 架電200件

この例では、有効商談10件を創出するために、接続50件、架電200件が必要になります。

ただし、上記はあくまで説明用のサンプルです。実際には、商材、ターゲット、リストの質、単価、営業プロセスによって大きく変わります。自社の過去実績がある場合は、その数値を優先しましょう。実績がない場合は、初期値として仮設定し、1〜3ヶ月程度の運用データをもとに見直すのが現実的です。

チーム内や他部門とKPI定義を揃える

KPIは、数値を決めるだけでは機能しません。チーム内や他部門と定義を揃える必要があります。

最低限、次の項目は事前に決めておきましょう。

  • 指標名
  • 定義
  • 計算式
  • カウント条件
  • 入力ルール
  • 責任者
  • 更新頻度
  • 関連部門との受け渡し基準

たとえば「接続数」をKPIにする場合、留守番電話につながっただけで接続とみなすのか、担当者と会話できた場合のみ接続とみなすのかを決める必要があります。

「商談化」についても同様です。日程が設定された時点で商談化とするのか、FSが有効商談と判断した時点で商談化とするのかによって、KPIの意味が変わります。

KPI定義書を1枚にまとめ、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスで共有しておくと、後から認識のズレが起きにくくなります

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BtoBコンサルタント

柴犬先輩

KPIはKGIから逆算して設定することが重要だよ

インサイドセールスのKPI運用の4つのポイント

KPIは、設定しただけでは成果につながりません。定期的に数値を確認し、原因分析と改善施策につなげることで初めて機能します。

ここでは、インサイドセールスのKPIを運用する際に押さえておきたいポイントを解説します。

KPIごとにモニタリング頻度を分ける

インサイドセールスのKPIは、すべて同じ頻度で確認する必要はありません。指標の性質に応じて、週次・月次・四半期など確認頻度を分けると運用しやすくなります。

たとえば、架電数や接続率、返信率、商談化率などは、日々の活動改善に直結しやすい指標です。そのため、週次で確認し、翌週のアクションに反映するのが適しています。

一方、有効商談数や受注率、受注貢献などは、一定期間の結果を見なければ判断しにくい指標です。これらは月次で確認し、目標との差分や原因を分析するとよいでしょう。

KPI項目や目標値そのものは、四半期ごとに見直すのが現実的です。組織フェーズや営業戦略が変わっているにもかかわらず、立ち上げ期と同じKPIを追い続けていると、現場の実態と合わなくなる可能性があります。

頻度 確認するKPI 目的
週次 架電数、接続率、返信率、商談化率 直近の行動改善を決める
月次 有効商談数、商談化率、受注率 目標との差分と原因を分析する
四半期 KPI項目、目標値、部門連携ルール KPI設計そのものを見直す

KPIは、毎日細かく見ればよいものではありません。改善に使う指標と、成果を確認する指標を分けて運用することが重要です。

週次・月次で振り返る項目を決める

KPIを確認する際は、振り返りの項目をあらかじめ決めておくことが重要です。毎回見る観点が変わると、数値の変化を継続的に追いにくくなります。

週次では、行動量や質KPIを中心に確認します。たとえば、架電数は目標に届いているか、接続率は前週より下がっていないか、商談化率に変化はあるかを確認し、翌週の改善アクションを決めます。

接続率が低い場合は、架電時間帯やリストの鮮度、担当者情報を見直す必要があります。商談化率が低い場合は、トーク内容、ヒアリング項目、訴求資料、商談化条件などを確認します。

月次では、成果KPIとのつながりを確認します。商談化率は改善しているのに受注率が低い場合は、商談の質やフィールドセールスへの引き継ぎ内容に課題があるかもしれません。反対に、受注率は高いのに商談数が不足している場合は、アプローチ量や接続率を見直す必要があります。

振り返りでは、単に「達成した/未達だった」で終わらせるのではなく、次に何を変えるのかまで決めることが重要です。KPIは評価のための数字ではなく、改善アクションを決めるための材料として活用しましょう。

SFA/CRMへの入力ルールを統一する

KPIを正しく運用するには、SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)やCRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)への入力ルールを統一する必要があります。

たとえば、「接続数」をKPIとして追う場合、担当者と会話できた場合のみ接続とするのか、代表電話につながった時点で接続とするのかによって、数値の意味は変わります。「商談化」も同様に、日程調整が完了した時点でカウントするのか、フィールドセールスが有効商談と判断した時点でカウントするのかを決めておく必要があります。

入力ルールが曖昧なままだと、担当者によって記録の基準が変わり、正しい分析ができません。ダッシュボードを整備しても、入力データの定義が揃っていなければ、見える数字の信頼性が下がってしまいます。

最低限、次の項目は事前に決めておきましょう。

  • 架電数・接続数のカウント条件
  • メール返信やクリックの記録方法
  • 商談化の定義
  • 有効商談の条件
  • 失注理由・未商談理由の選択肢
  • 入力のタイミング
  • 入力漏れがあった場合の確認方法

まずは入力ルールを揃え、誰が見ても同じ基準で数値を確認できる状態を作ることが重要です。

マーケティング・営業と定期的に連携する

インサイドセールスのKPIは、インサイドセールス単体で完結するものではありません。マーケティング部門やフィールドセールス部門と連携し、営業ファネル全体で確認することが重要です。

たとえば、MQL数は多いのにSQL転換率が低い場合は、リードの質やナーチャリングに課題がある可能性があります。SQL転換率は高いのに受注率が低い場合は、商談化基準やフィールドセールスへの引き継ぎ内容を見直す必要があります。

そのため、月1回程度は部門横断のミーティングを設け、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの各責任者または担当者で数値を確認するとよいでしょう。

確認すべき項目は、次の通りです。

  • MQL件数
  • MQLからSQLへの転換率
  • インサイドセールスの商談化率
  • フィールドセールスへの引き継ぎ後の有効商談率
  • 商談から受注への転換率
  • 失注理由
  • リードソース別の成果

このミーティングの目的は、責任追及ではありません。営業ファネルのどこで詰まりが起きているのかを、部門をまたいで特定することです。

インサイドセールスのKPIを他部門と共有できれば、リード獲得から商談化、受注までの流れを一気通貫で改善しやすくなります。KPIはチーム内の管理指標としてだけでなく、マーケティング・営業との共通言語として活用しましょう。

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インサイドセールスKPIを量から質へ移行させるタイミングと運用設計

立ち上げ期からいきなり受注貢献金額を主KPIにすると、現場でコントロールしにくい指標になりやすくなります。まずは行動量と接続率を整え、その後に商談化率や有効商談数へ移行する流れが現実的です。ここではそのタイミングの基準と移行後の運用設計について解説します。

量から質への移行タイミングの判断基準

架電数中心のKPIから商談化率中心のKPIへ移行するタイミングは、感覚ではなく条件で判断することが重要です。

以下の3項目のうち2つ以上に該当する場合は、主KPIを「行動量」から「質・成果」へ移行するタイミングと考えられます。

  • 行動量KPIを継続的に達成しているが、商談化率が目標を下回っている
  • 接続率が一定期間安定し、接続フェーズの課題が見えにくくなっている
  • ターゲットリストの消化が進み、単純な架電量増加では成果が伸びにくくなっている

このような状態で架電数だけを増やしても、成果改善にはつながりにくくなります。行動量の不足ではなく、ターゲット選定、トーク設計、商談化基準、訴求内容の改善に軸足を移すべきです。

なお、期間や数値の目安は企業ごとに異なります。自社の営業サイクルや商材単価、リスト規模に合わせて判断しましょう。

移行後のKPI再設計と商談化率を主軸にした運用設計

量から質へ主軸を移行する場合は、まず商談化率の定義を統一します。

接続数に対する商談化率なのか、アプローチ件数に対する商談化率なのかを決めなければ、改善前後の比較ができません。また、有効商談の定義もFSとすり合わせておく必要があります。

移行後は、次の流れでKPIを再設計します。

  1. 現在の商談化率を正確に測定する
  2. 実績値をもとに改善目標を設定する
  3. 架電数や接続率は補助KPIとして残す
  4. 週次で商談化率を確認し、月次で目標値を見直す

商談化率を主KPIにした後も、行動量KPIを完全に外す必要はありません。商談化率が下がった際に、原因が「活動量不足」なのか「質の問題」なのかを判断するために、補助指標として残しておくことが重要です。

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インサイドセールス内製・外注のKPI管理の違い

インサイドセールスのKPI管理は、内製で行う場合と外部BDR代行を活用する場合で特徴が異なります。どちらが優れているというより、自社の組織フェーズやリソースに応じて使い分けることが重要です。

比較項目 内製IS 外部BDR代行
KPI設計の柔軟性 自社事情に合わせて設計しやすい 代行会社の知見を活用しやすい
立ち上げ速度 採用・教育・運用定着に時間がかかる 初期設計から運用開始まで進めやすい
ノウハウ蓄積 社内に蓄積しやすい 外部知見を取り入れやすい
管理工数 社内マネジメントが必要 レポーティング設計が重要

内製ISは自社にノウハウを蓄積しやすい

内製IS組織のメリットは、自社の営業プロセスや顧客理解を深めながら、KPI運用のノウハウを社内に蓄積できることです。

商材理解や顧客課題の把握、フィールドセールスとの連携などを自社内で行えるため、長期的には営業組織全体の改善につなげやすくなります。また、KPI項目や目標値も、自社の営業戦略に合わせて柔軟に設計しやすい点が特徴です。

一方で、立ち上げには採用、教育、マネジメント、SFA/CRMの整備などが必要です。インサイドセールスの経験者が社内にいない場合、KPI設計や運用ルールづくりに時間がかかる可能性があります。

すでにインサイドセールス組織があり、一定の運用データが蓄積されている企業では、内製でKPI改善を進める方法が適しています。

外注は立ち上げスピードを高めやすい

インサイドセールスの外注のメリットは、BDR運用の設計や実行をスピーディーに始めやすいことです。

特に、ターゲット企業へのアウトバウンドアプローチを強化したいものの、社内に専任人材や運用ノウハウが不足している場合、外部代行の知見を活用することで、初期設計から実行までを進めやすくなります。

また、代行会社が持つトーク設計、リスト精査、レポーティング、改善提案のノウハウを活用できる点もメリットです。立ち上げ期は、外部BDR代行で運用の型を作り、一定の成果や学びを得たうえで内製化を検討する方法もあります。

ただし、外部代行を活用する場合は、成果件数だけで判断しないことが重要です。商談化率、有効商談の定義、レポーティング内容、改善提案の質まで含めて確認し、自社の営業成果につながっているかを見極める必要があります。

組織フェーズに応じて内製と外注の使い分けが重要

内製と外注、どちらか一方を選ぶものではなく、組織フェーズに応じて使い分けることが重要です。

たとえば、インサイドセールスの立ち上げ期は、代行会社を活用してKPI設計や運用の型を取り入れる方法があります。社内にノウハウがない状態でゼロから立ち上げるよりも、短期間で仮説検証を進めやすくなります。

一方、成長期以降は、外部代行で得た知見をもとに内製化を進める選択肢もあります。商談化率や有効商談数のデータが蓄積されていれば、自社に合ったKPI設計や人材育成にも活かしやすくなります。

代行会社を活用する場合でも、すべてを任せきりにするのではなく、自社側でもKPI定義や商談化基準を把握しておくことが大切です。内製・外注のどちらを選ぶ場合でも、最終的には自社の営業成果につながるKPI運用になっているかを確認しましょう。

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インサイドセールスを外注する場合の3つのKPI設計ポイント

インサイドセールスを外部に委託する場合も、KPI設計は重要です。外部パートナーを活用するからこそ、どの指標を追うのか、何を成果とみなすのかを事前に合意しておく必要があります。

特に、成果件数だけで判断すると、商談の質や受注へのつながりを正しく評価できない場合があります。次のポイントをあらかじめ確認しておきましょう。

商談化率や有効商談数の目標を決める

インサイドセールスの外注を活用する際は、月間で何件の有効商談を目指すのか、商談化率をどの計算式で見るのかを事前に決めておくことが重要です。

たとえば、商談化率を見る場合でも、アプローチ件数に対する商談化率なのか、接続数に対する商談化率なのかによって、数値の意味は変わります。定義が曖昧なままだと、代行会社側と自社側で成果認識にズレが生じる可能性があります。

また、単に商談数だけを追うのではなく、有効商談数もあわせて確認することが重要です。日程が設定されただけの商談を成果とするのか、一定の条件を満たした商談を成果とするのかによって、KPIの評価は大きく変わります。

有効商談の定義を明文化する

インサイドセールスを外注する際は、有効商談の定義を事前に明文化しておく必要があります。

たとえば、BANT(Budget:予算、Authority:決裁権、Need:ニーズ、Timeline:導入時期)のうち、どの条件を満たしていれば有効商談とするのかを決めておきます。すべての条件を満たす必要があるのか、課題や導入時期が確認できていればよいのかなど、基準を具体化することが重要です。

この定義が曖昧なままだと、代行会社側は成果として報告していても、フィールドセールス側では「提案に進める状態ではない」と判断される可能性があります。

代行を活用する際は、商談数だけでなく、フィールドセールスが実際に対応すべき商談かどうかまで含めて、成果基準をすり合わせておきましょう

レポーティング頻度と改善ミーティングの形式を決める

KPIを正しく管理するには、レポーティング頻度と改善ミーティングの形式も事前に決めておく必要があります。

週次では、架電数、接続率、商談化率、有効商談数などを確認し、直近の改善施策を検討します。月次では、成果KPIや商談の質、受注へのつながりを振り返り、ターゲットリストや訴求内容の見直しを行います。

レポートでは、単に活動件数や商談数を確認するだけでなく、次のような項目も確認するとよいでしょう。

  • ターゲットリスト別の接続率
  • アプローチチャネル別の反応率
  • 商談化した企業の傾向
  • 商談化しなかった理由
  • フィールドセールスへの引き継ぎ後の評価
  • 次月に改善すべき施策

インサイドセールスを外注する際は、契約前にKPI定義と報告ルールを合意しておくことで、成果認識のズレを防ぎやすくなります。成果件数だけでなく、商談化率、有効商談の定義、レポーティング内容、改善提案の質まで含めて確認しましょう。

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インサイドセールスのKPIに関するよくある質問【FAQ】

Q. インサイドセールスのアポ率・商談化率の業界平均はいくつですか?

A. インサイドセールスのアポ率・商談化率は、業界、商材単価、ターゲット、リストの質、インバウンドかアウトバウンドかによって大きく異なります。一般的な目安として数値が語られることはありますが、そのまま自社に当てはめるのは危険です。

まずは自社の過去実績をもとに基準値を作り、月次・四半期で改善トレンドを見ることをおすすめします。

Q. アポ率が目安を下回っている場合、何が原因として考えられますか?

A. 主な原因は、ターゲットリストの精度不足、架電タイミングの不適切さ、訴求内容のミスマッチです。まずは、接続率と商談化率を分けて確認しましょう。接続率が低い場合はリストや時間帯、商談化率が低い場合はトーク内容やターゲット課題とのズレに原因がある可能性があります。

Q. KPIの目標値を高く設定しすぎるとどうなりますか?

A. 目標値が現実離れしていると、現場が達成を諦め、KPIが形骸化しやすくなります。KPIは高ければよいものではなく、改善行動につながる水準であることが重要です。初期は過去実績をもとに少し背伸びした水準で設定し、運用データを見ながら四半期ごとに見直すとよいでしょう。

Q. インサイドセールスのKPIは何個が適切ですか?

A. 最初は3〜5個程度に絞るのがおすすめです。KPIが多すぎると、現場が何を優先すべきか分からなくなります。主KPIを1つ決め、その原因分析に必要な補助KPIを2〜4個設定する形にすると、運用しやすくなります。

まとめ

インサイドセールスのKPIは、架電数やメール送信数を管理するだけのものではありません。KGIから逆算し、営業ファネルのどこに課題があるのかを可視化するための仕組みです。

まずは、自社のインサイドセールスで現在追っているKPIを洗い出し、「活動量・質・成果」のどの層に偏っているかを確認してみましょう。架電量は達成しているのに商談化率が伸びていない場合は、主KPIを量から質へ移行するタイミングかもしれません。

インサイドセールスのKPIの設計・運用は、KGIからの逆算と3層構造の整理が基本です。KPIは設定しただけでは機能せず、PDCAと他部門連携が成否を分けます。

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