本記事では、インサイドセールスの運用における定石を、SDR(Sales Development Representative)とBDR(Business Development Representative)という2つの側面から徹底的に解説します。マーケティングと連動した効率的なインサイドセールスの動かし方、リード獲得後の初動架電の重要性、フォローアップの回数、トークスクリプトの分岐、BANT(バジェット・オーソリティ・ニーズ・タイムフレーム)を用いた情報取得のポイント、そしてアポのランク付けによるPDCAの高速化など、現場で即使えるノウハウを網羅しています。
これからのBtoBマーケティングにおいて、インサイドセールスの役割はますます重要になっています。マーケティング施策で獲得したリードを確実に商談につなげるために、どう動くべきかを具体的に学びたい方はぜひ参考にしてください。
この記事は株式会社シャコウが運営するYouTubeチャンネル「BtoBマーケ研究所」の動画、「インサイドセールスの定石|マーケ連動で成果最大化を実現する運用Tipsとは?SDR/BDR別に徹底解説!」の要約記事となります。資料はこちらからダウンロードできます。
SDRインサイドセールスの攻略
まずはインサイドセールスの基本的な構造と、その中でもSDRの役割について説明します。
SDRの役割とは
SDRはマーケティング側で獲得したリードに対してアプローチをかける役割です。マーケティング施策(広告、ホワイトペーパー、ウェビナーなど)を通じて「プル」されたリードに対し、電話やメールでフォローアップし、商談につなげるのが基本的な動きです。
SDRの運用で最も重要なのは、初動対応の速さとフォローの継続性です。海外の調査データによると、リードが資料ダウンロードやサービス資料請求を行ってから5分以内に電話をかけると、10分以内にかける場合と比べてコンタクト率が約4倍になるという結果があります。つまり、いかに早く連絡を取るかが成果に直結します。
また、電話にすぐに出てもらえないケースも多いため、最低でも6回程度はフォローの電話をかけることが望ましいです。これによりコンタクト率が8割から9割にまで上がると言われています。1度の電話で諦めず、継続的なアプローチが効果的なのです。
SDRはチャネル別のトークスクリプトが重要
SDRがリードにアプローチする際、どのチャネル(広告、問い合わせ、ウェビナー、ホワイトペーパー)から来たリードかによって、ユーザーの状態や興味関心が異なります。例えば、広告や問い合わせ経由のリードは比較的熱量が高く、自発的に話してくれることも多いです。一方、ウェビナーやホワイトペーパーからのリードは、会社への興味よりも情報収集目的のケースが多いため、より積極的にアポ獲得のための行動をとる必要があります。
そのため、チャネルごとに適切なトークスクリプトを用意し、リードの状態に合わせて話を展開することが重要です。例えば、ウェビナー参加者に対しては「昨日のウェビナーにご参加いただきありがとうございました。テーマについて何か課題感はありますか?」といった具体的な問いかけから会話を始めると良いでしょう。
SDRでヒアリングすべき顧客情報
アポを取る際にどの情報を取得すべきかについて、よくBANT(Budget・Authority・Need・Timing)情報が挙げられます。これは、予算(Budget)、決裁権(Authority)、ニーズ(Need)、導入時期(Timing)という4つの要素の頭文字を取ったものです。
ただし、インサイドセールス(特にSDR)ですべてのBANT項目を電話で聞き出すことは稀です。予算情報は唐突に聞きづらく、また決裁権も相手の話しぶりや立場から推測することが多いです。基本的にはニーズと決裁権の把握に注力し、予算や導入時期はフィールドセールスが商談の中で深掘りしていく形が一般的です。
この役割分担を明確にし、情報共有を徹底することで、フィールドセールス側で「ニーズがない」「期待と違う」というミスマッチを防ぎ、無駄な商談を減らすことができます。
PDCA高速化のためのアポランク付け
マーケティングが獲得したリードに対し、インサイドセールスが迅速に対応し、アポを設定しても、商談が翌日以降になることはよくあります。そのため、マーケティング施策の効果検証が遅れがちです。これを防ぐために、インサイドセールス側でアポにランク付け(例:A、B、C、D)を導入することを推奨します。
ランク付けによって、どのキャンペーンから来たアポが「熱量の高い有効なアポ」であるかを即座に判断できるため、マーケティング施策の改善サイクルをスピードアップできます。例えば、Facebook広告からのアポにDランクが多ければ、そのキャンペーンの見直しを早期に検討できます。
広告CPAと商談CPAのギャップに注意
リスティング広告の場合、顧客が自らキーワードを入力して能動的にコンバージョンするため、比較的高品質なリードが集まります。一方、メタ広告やディスプレイ広告はプッシュ型で配信されるため、潜在層のリードが多く、実際の商談成立率は低くなる傾向があります。
このため、媒体上でのCPA(Cost Per Acquisition)は低く見えても、実際には有効な商談に繋がるCPAは高くなるケースがあるため、両者のギャップを把握し、マーケティングとセールスが連携して改善を図ることが重要です。
BDRインサイドセールスの攻略
次に、BDR(Business Development Representative)の役割と運用について解説します。
BDRとは
BDRはマーケティングのリード獲得に頼らず、未接触のリストに対して新規開拓を行うインサイドセールスの形態です。つまり、白地のリストから電話やメールでアプローチし、アポ獲得を目指します。
リストの精度が成果を左右する
BDRで最も重要なのはリストの精度です。サービスが刺さる属性をどれだけ解像度高く把握できているかが、アポ率に大きく影響します。むやみに大量に電話をかけるのではなく、狙いたいセグメントを明確にし、それぞれに最適なトークスクリプトを用意してPDCAを回すことが勝ちパターン発見の鍵です。
法人リスト作成ツールには、業種や従業員数などの属性で絞り込めるものや、インテントデータを活用したものがあります。自社サービスに最適なリスト作成方法を見極め、効率的にターゲットを絞ることが必要です。
複数チャネルを組み合わせたアプローチ
BDRのアプローチ手段は電話(アウトバウンドコール)が中心ですが、サービス特性によってはホーム営業や郵送DM(ダイレクトメール)も有効です。例えば、低単価で分かりやすいサービスなら大量送付のホーム営業が適しており、高単価で決裁者に直接届かせたい場合は手紙DMが効果的です。
複数チャネルを組み合わせることで相乗効果が期待でき、例えば郵送DMで手紙を送付した後に電話でフォローアップする戦略もあります。自社に合った手法を選び、試行錯誤を重ねましょう。
BDRは事業仮説の検証にも活用可能
BDRの活動は単なるコール数の積み重ねだけでなく、事業仮説の検証にも大きな意味があります。リスト化したターゲットにアプローチした結果、電話の応答率やキーマンと話せた割合、アポ獲得率などの生データを大量に収集できるため、「このサービスはこの属性に刺さるのか?」という仮説検証に役立ちます。
特に、アポが断られた理由を分析することは重要です。例えば「既に同様のツールを導入している」「そもそも必要性を感じていない」といった回答から、ターゲットやサービスの価値提案を見直すヒントが得られます。
アウトバウンドコールは関係構築の第一歩
BDRの電話でキーマンに繋がっても、すぐにアポに結びつくケースは多くありません。特に大手企業では多くの営業電話が日々かかってくるため、相当な刺さりがないと即商談には至りにくいのです。
しかし、アウトバウンドコールは関係構築の第一歩として重要です。今すぐアポが不要と言われても、「今度ウェビナーを開催します」「お役立ち資料をお送りします」といった形で価値ある情報提供を行い、メールアドレスなどの連絡先を確保できれば、次のナーチャリングにつなげることが可能です。
SDR/BDRインサイドセールス運用のまとめとポイント
- SDRはマーケティングと密接に連携し、チャネルごとに適切なトークスクリプトを用意することが重要。
- フィールドセールスにバント情報を共有し、ニーズや決裁権の把握を徹底して無駄打ちを防ぐ。
- アポのランク付けを導入し、マーケティング施策の効果検証を早期に行いPDCAサイクルを高速化する。
- BDRはリストの精度にこだわり、複数チャネルを組み合わせて効率的に新規開拓を行う。
- BDRの活動は事業仮説検証にも活用し、定量・定性データを分析して勝ちパターンを早期発見する。
- アウトバウンドコールは単なるアポ獲得だけでなく、関係構築の第一歩として価値ある情報提供を継続する。
株式会社シャコウはBtoBマーケティングの戦略設計からクリエイティブ制作、インサイドセールス運用まで一気通貫で支援しております。ポイントでのご支援も可能ですので、お悩みの際はお気軽にご相談ください。
また、BtoBマーケティング担当者向けのお役立ちウェビナーも随時開催していますので、ぜひご参加ください。
この記事は株式会社シャコウが運営するYouTubeチャンネル「BtoBマーケ研究所」の動画、「インサイドセールスの定石|マーケ連動で成果最大化を実現する運用Tipsとは?SDR/BDR別に徹底解説!」の要約記事となります。資料はこちらからダウンロードできます。